第4号(2008/10/1)●6-7面

■いま韓国では

労働に対する弾圧と反撃の警告音が響き始めた
なぜ社労連(社会主義労働者連合)を標的にしたのか

イ・ヅクチェ(論説委員) 訳/黄 泳洪

インターネット新聞チャムセサン2008年8月27日付コラムより

キャンドルに怯え変革主体の労働者の登場に怯える
李明博政権は、その反動的本性を表し始めています。
この文書は、その状況を少しでも感じられる文書です。(黄)


教徒たちが憲法破壊、宗教差別、李明博政権を批判しながら汎仏教徒大会を開いた。基督教(キリスト教)国家である米国でも、ブッシュがホワイトハウスで礼拝をしたと聞いたことがない。すでに李明博政権は、大韓民国ではなく大韓‘神国’を作っている。政教分離を保障した憲法を破壊していると言うことである。

統領が憲法の上に立つ国、当事者自ら憲法を蹂躙しておきながら、大衆には遵法を強調し公権力で大衆たちを弾圧する国、これが現在の大韓民国の姿である。便法、違法、脱法、不法などを犯し、法は村の子犬にも劣るように感じる財閥総帥たちの赦免。最近、李明博政権は、露骨的に公安弾圧を行っている。一方では、キャンドル大衆を放水車で鎮圧し、他の一方では、大韓民国主権者たちの思想と表現の自由を抑圧している。色素が混じった放水を被った身体と思想と表現の武器である精神を総体的に侵奪している。

自由主義没入国に国家を改造し、韓半島大運河に国土を改造して、宗教弾圧、思想と自由の弾圧へ。今は人間の人性まで新保守主義に改造している。親日派子孫たちを前面にし、日本右翼の頬を軽く叩く程度の歴史歪曲を躊躇わず、自らグローバル防具と自称している。洞事務所に十字架を掲げる程、大韓民国全体を大韓‘聖国’作りに余念がない。

し前、国防部を前面にして出し抜けに‘不穏書籍’を作ったかと思えば、今度は社会主義労働者連合会員たちを国家保安法違反として電撃逮捕した。北韓の自主路線と何の関係もない社労連に国家保安法適用とは、押し並べて思想的には新保守的な歴史を前に一面没入しながら、新自由主義的に血が枯れる競争を繰り広げなければならない李明博政権と、北韓大衆を異質的な主体大衆に改造する北韓と、どれ程の違いがあるのだろうか?

明博政権自体が国家保安法を破っているのである。グローバルの防具になり大韓民国憲法第3条領土に関する条項も守らず、真正な国民主権を要求するキャンドル大衆の憲法条項履行要求を武力で鎮圧し、憲法の影響力に次ぐ国家保安法で思想と表現の自由を抑圧している。特に、国家全体を政治的・経済的・外交的に累卵の危機に陥れており、国家保安法を先ず適用しなければならない対象は、李明博政権である。それでなぜ決まって‘北韓’なのか?いくら何の概念もなく太極旗(国旗)を逆さに掲げ応援する政権ではあるが、その突出行為を到底理解することは出来ない。ならばその意図は、一体何だろうか? なぜ、よりによって、社労連を標的にした子供も笑わないギャグを繰り広げるのだろうか?キャンドルの背後を造り出そうとしているのだろうか? 危機に落ちた資本の利益に奉仕しようと、財閥の側を助けるための手順なのだろうか?

明博政権は、労働を弾圧するための布石作業に入ったように思う。社労連は反資本を明らかにした旗を掲げる政治組織である。財閥総帥たちを赦免した後、李明博政権は資本の侍女の役割を充分に果たすため、自身たちのシナリオ通りに動いている。キャンドル・放送・教育・宗教・公務員・出版掌握に続いて、政権守護のため絶え間なく機会を窺っていた李明博政権が、遂に、社会の物質的土台である労働にくつわをはめようと、その信号弾で、断固とした階級的左派である社労連に手を出したのである。

想の自由の土台は物質的基盤にある。大韓民国の物質的な土台は、開発独裁の時代である70〜80年代とは違う。国民主権が何であり、民主共和国が何であるのか、人々の考えも物質的な土台の発展により急激に上昇している。このようにして、市庁舎の前とチョンゲチョン、いや全国に氾濫している思想と表現の自由を社労連弾圧で抑圧し、塗炭の苦しみに落ちた民衆たちの生を‘北韓’へと関心を向ける。それを信じろとでも言うのだろうか? 太極旗を全身に包みあなたと応援したワールドカップの熱気と、太極旗を逆さまに掲げあなたと揺れたオリンピックとでは、その間には雲泥の差がある。21世紀式表現の欲求と1970年代式公安弾圧の格差の前で、あ然失色せざるをえない。
全てが戦争である。キャンドルたちを留置場に監禁し公務員を法廷拘束しながら、キャンドル手配者たちをチョゲ寺に閉じこめておき、社労連弾圧で左派を親北左派に化けさせることまで堂々と恣行している。キリュン電子労働者たちは死線をさまよい、KTX労働者たちは鉄塔高空籠城に入った。資本は“死ぬほど闘っても世の中が変わらないのは、当然だ”と言い放っている。

明博政権が新自由主義の警察国家だといくら主張しても世の中は変わらない。シュギョン僧が語ったように、李明博政権の本質は血も涙もない‘冷血資本主義’である。金と資本を持つ人間にだけ基督教の愛の花が咲く、21世紀型独裁国家である。社労連弾圧を初め労働の首筋を締め上げ始めた現実を正確に見よう。思想と表現の自由の抑圧は、まさに資本の反撃の始まりである。

中南米の「左翼旋風」は私たちにとり何なのか

尾形 憲 (元イラク違憲訴訟の会・東京共同代表)

 私はかねがね以前は「アメリカの裏庭」と言われていた中南米の変貌――それは「左翼旋風」と言ってよい――に関心を持っており、その一端を「協同・未来」の『未来』No88と本紙創刊号で述べたことがある。この問題をあらためてここで取り上げて、読者諸賢のご教示を仰ぎたい。

 中南米の国々は19世紀末から20世紀にかけ、イギリスとこれを追う後発西欧諸国、さらにアメリカによる植民地争奪戦の嵐に巻き込まれ、経済はモノカルチュア化されてゆく。住民は自給自足の満ち足りた生活が食うにも事欠くようになる。まさしく「絶対的窮乏化」である。天然資源は豊かでも、その豊かさはごく一握りの大地主、特権層やこれとつながる外国資本の 手中のものでしかない。

 1980年代にはとくにアメリカによる新自由主義が。そしてこれと軌を一にして世界銀行・IMFの「構造調整計画」が押しつけられる。
 これで外貨獲得のためのモノカルチュアはさらに推し進められ、医療・教育・福祉などの「不生産的支出」の削減、公共料金の引き上げ、さては増税となる。耐えかねて起ち上がった人たちへは、同様に貧しくて軍隊に入るほかなかった人たちの銃口が向けられる。
 庶民の憤怒は1998年、ヴェネズエラのチャベス政権の実現となって火を噴いた。他の国々がこれに続き、今や南米12ヶ国中で明確に親米なのはコロンビアだけ。そしてその勢いは中米にも及んできた・アメリカの陰に陽にの妨害、テロももはや押し止められない。
 これらの国々は農地解放、重要産業の国営化、医療・教育・福祉の無償化などを実現する一方、国同士でもさまざまな形の協力を進め、アメリカの介入を排除した(中)南米統一を目指す力となっている。

 こうした中南米の「左翼旋風」は私たちの「革命」にとりどのような意義を持つか。チャベスのいう「革命の原動力としての空腹」は、日本を含む「北」の国々にとって当面問題とはならない。もちろん新自由主義は日本でも「格差」の拡大をもたらす大きな問題となっている。だが、中南米での事態は、まさしくレーニンのいう資本主義の「鎖の弱い一環」での矛盾の爆発ではないか。これを私たちの目指す革命への路線にどう位置づけるのかは、今後の 重要 な課題である。
■連載(寄稿)

協同組合運動とは何か(3)
モンドラゴンの地から世界へ(2)

増田 幸伸(近畿生コン関連協同組合連合会専務理事)

モンドラゴンの挑戦

 少し古いですが、モンドラゴン協同組合企業体は2003年時点で168の協同組合企業が結集し、総売上は約1兆3324億円の規模となっています。グループの3本柱は工業(自動車部品・産業用機械・家電製品・工具など7分野)、金融(人民労働金庫)・流通(小売業)で、労働者は全体で約68,000人。168協同組合の内訳は、工業が135、信用1、生協1、農業生産関係4、教育8、調査研究13、サービス6。
 さて、スペインはフランコ独裁政権の崩壊以降(1975年フランコ死去)民主化を進め、欧州連合にも加盟しました。スペインの市場開放と90年代以降のグローバル化は、巨大な多国籍企業との競争にさらされることを意味します。しかし、例えば小売業のモンドラゴングループの「エロスキ」(消費協同組合と労働者協同組合の混合型)は、スペインの小売業で売上第2位(約7、281億円)にあり、1位の多国籍企業カルフールと渡り合っています。

労働者協同組合

 労働者協同組合とは、出資・労働・経営を一体化した働き方である協同労働に基づく協同組合です。しかし、私たち日本に住む者にとって、労働者協同組合や生産協同組合という概念は理解しづらいかも知れません。
 欧米では150年の歴史があり、その法的名称は、「労働者協同組合(米国・カナダ)」、「生産労働者協同組合(フランス)」、「生産組合(ドイツ)」と多様です。特に、モンドラゴンのあるスペイン憲法では協同組合を振興すべき事業形態として労働者の権利と結び付けて把握しています。
 日本では、1900(明治33)年にドイツのライファイゼン農業信用協同組合をモデルにした産業組合法が作られたのですが、生産協同組合は排除されました。その理由として、後に「遠野物語」など民俗学者として有名になる、当時は国家官僚であった柳田国男が、欧州でも経営管理能力不足と資金不足が原因で失敗しているから、日本は避けるべきとしました。もっとも、欧州の生産協同組合の提唱・実践者が社会主義者であったことも敬遠された理由かもしれません。以降、労働の協同化が今日に至るまで規定されることなく、生産協同組合の最も遅れた「先進国」となっているのです。

モンドラゴンの運営

 協同組合の最高決定機関は、組合員が全員参加する組合員総会です。協同組合で働く労働者はすべて組合員です。総会では事業計画決定、内規制定、決算の承認などの他、理事会や監察委員会(監査役)メンバーが選出されます。
 理事会は生産計画を決定し、企業長を任命。企業長は業務全般を執行します。参加・決定・監理・経営執行が、総会・理事会・企業長に分権化され、補佐かつ監視する機関が監察委員会や各協議会です。主体的参加と自主的運営がめざされます。
 ところで、協同労働を担う労働者は出資者・経営者でもありますから、ここで働く労働者を賃金労働者として労働組合に組織化し、労使交渉をすることはありません。協議会の中で解決することになっています。しかし、「賃金」基準をめぐって、ファゴール(家電を製造する協同組合)でストライキが闘われた過去もあります。
 また、労働者協同組合が雇用する賃金労働者の問題、多国籍展開の持つ意味など重要な矛盾も見られます。(次号に続く)

西成署の労働者に対する暴力支配を許すな!

稲垣さん、第1回公判で堂々と意見陳述

 9月2日、大阪地方裁判所1004号法廷で釜ヶ崎地域合同労組委員長稲垣浩さんに対する「道路交通法違反」事件の第1回公判が開かれた。傍聴席は満杯で、法廷外にも多くの仲間が待機した。

 検察側の起訴状朗読とその認否が行われた。検察は、稲垣さんのこれまでの逮捕歴や現在執行猶予中の状態であることをことさら強調した。稲垣さんは、起訴事実で「宣伝カーを西成署前で止め抗議行動を行ったこと」を認めたが、それは西成署の労働者に対する暴力行為に抗議した正当なものであったこと、国や大阪府、大阪市、警察は釜ヶ崎の日雇労働者に差別行政を行っている実態の暴露を意見陳述として行った。

 以下、稲垣さんの意見陳述を要約し、また小見出しをつけたものを掲載する。次回第2回公判は、10月17日です。



稲垣さんの意見陳述

〈裁判が始まる前から不利な条件を背負わされている〉

3年ほど前に、大阪弁護士会に所属する若い弁護士さんが、私に「司法修習生のころ、釜ヶ崎をパトカーに乗って案内してもらったときに、警察官が稲垣さんのことを名指しで『労働者をあおって騒ぎを起こす悪い人物だ』と説明されましたよ」と教えてくれました。

 西成警察署は、そういう人たちに司法修習という場を利用して、私に対する予断と偏見を記憶させておこうとするのです。司法修習制度を警察にこんな形で利用されていていいのでしょうか。私は、この裁判が始まる前から不利な条件を背負わされ、そして被告人席に立つということになっております。(西成警察署に対する抗議行動の発端、経過は、略)。

〈仕事の紹介業務をしない、あいりん職安〉

 釜ヶ崎は、日雇労働者の町です。日本の建設産業の根底を支えているのは日雇労働者です。釜ヶ崎の労働者が仕事を求めて集まる通称「センター」の3階にあいりん労働公共職業安定所があります。開設されて38年たちますが、いまだに一件の仕事の紹介業務もしたことのないひどい職安です。こんな職安は全国でここだけです。その結果、釜ヶ崎の労働者は中間搾取を行う手配師の人達を通じてしか仕事につけません。条件違反、賃金不払い、労災もみ消し、現場での暴力事件等が、私たちの組合に来る労働者の相談内容の主なものです。あいりん職安が業者からの求人を受け付け、雇用条件を明示し、それを見て労働者が仕事につくことが出来れば、手配師の人たちのピンハネがなくなる分、3000円から4000円は賃金のアップが見込め、生活も少しは楽になるでしょう。

〈住民登録を強制削除、「塀のない刑務所」〉

去年の3月29日には、20年以上も前から認めてきた釜ヶ崎解放会館での住民登録を大阪市は突然違法とし2088人の住民登録を強制削除し、住所不定者にしました。これにより、選挙権の行使はもとより、公的サービス、民間のサービスすら受けることがむつかしくなりました。釜ヶ崎解放会館で住民登録をしていた労働者がこう言いました。「選挙に行ってないし、いろんなサービスも受けてないけど、住民登録をしているということで安心感が持てるんや、これ大事なことやで」と。

 仕事をしたくても仕事がない、といって劣悪で自由のない施設には入りたくない。そう思う人たちが公園や路上、河川敷でやむなくテントを張り、アルミ缶を集めて、それを寄せ屋さんに売り、誰の世話にもならずに生活しています。国や大阪府、大阪市は野宿せざるを得なくなるような状況に追いつめておきながら、目ざわりという理由でテントの強制撤去を行います。私たちはこの強制撤去に反対しています。

 釜ヶ崎の面積は0.62km2といわれております。その公道の要所要所に西成警察署は、15台もの監視カメラを設置して、24時間だれのことわりもなしに、労働者や、そこで生活している人たちを監視しています。労働者はこのことを「塀のない刑務所と同じ」といっています。

〈私の主張〉

私たちが何に抗議しているのかお分かりでしょうか。国や大阪府、大阪市、警察は釜ヶ崎の日雇労働者に差別行政をするなということなんです。

 私は釜ヶ崎の労働者が差別されることの無いよう、釜ヶ崎の労働者や支援の人たちと共に、活動を続けていきたいと思っています。現在逮捕されている労働者や少年達の1日も早い釈放を願って私の意見陳述を終わります。

下野新聞創刊130周年に寄せて

武器としての言論、武器としての新聞

西の立志社/土佐・植木枝盛(えもり)
東の中節
(ちゅうせつ)社/下野(しもつけ)・田中正造ら


 そもそも「新聞」の始まりは、国家権力の「官報」に対抗するための「民報」としての、武器としての言論新聞であった。足尾鉱毒事件で広く知られる田中正造は、それ以前は自由民権運動の闘士として、東日本を代表するほどの人物であった。今日ある「下野新聞」(栃木県)は、そもそも自由民権運動の闘いの武器として田中正造が興したものであるなどという歴史はあまり知られていない事実である。現在、各地にある地方紙にも、当時の名を残す紙名はいくつも数えられる。武器としての言論が非常に弱々しい今日の状況下で、百余年も前の当時の人達の熱誠に触れることは、意義あることと思う。(乱鬼龍)
予は下野(しもつけ)の百姓なり
―田中正造と足尾鉱毒事件 新聞で見る公害の原点
9月20日(土)〜11月30日(日)
日本新聞博物館
The Japan Newspaper Museum
〒231-8311 横浜市中区日本大通11 横浜情報文化センター
■TEL:045-661-2040 ■FAX:045-661-2029
●開館時間:午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
●休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は次の平日)
●入場料:一般・大学生500円、高校生300円、小中学生無料
ファミリー料金(土・日曜日・祝日)
中学生以下同伴の保護者1人で400円
中学生以下同伴の保護者2人で500円
中学生以下同伴の保護者3人目以降は1人400円
シルバー料金(65歳以上)………………400円
リピーター料金(前回の入場券提示)…100円引き
団体料金(20人以上)……………………100円引き
※割引の併用はできません。
※20人以上の団体、バス駐車場利用の場合は事前にお申込ください。

交通アクセス
電車
みなとみらい線「日本大通り」駅情文センター口直結
JR根岸線「関内」駅徒歩10分
横浜市営地下鉄「関内」駅徒歩10分
バス
横浜市営バス「日本大通り駅県庁前」バス停徒歩1分

首都高速「横浜公園ランプ」車3分
※詳細はこちら
 http://newspark.jp/newspark/

新刊あんない

●倉橋正直 著
 阿片帝国日本
――阿片を用いた中国侵略

共栄書房
2008年08月2,100円(税込)


●伊藤述史 著
 現代日本の保守主義批判
――歴史・国家・憲法

お茶の水書房
2008年08月2,940円(税込)

海外短信


■タイ■政局の混迷続く見通し
 タクシン元首相の汚職疑惑を追及するPAD(民主人民会議=王政支持派運動)民衆は首相退陣を要求し一万人規模の首相府占拠を続けていたが、9月2日、サマック首相を支持するUDD(反独裁民主統一戦線)の民衆との衝突へと発展し、一名の死者と40名を越える負傷者を出す事態となった。事態を重く見たサマック首相はバンコク市内に非常事態宣言を発令し、各銀行は混乱を恐れて支店を閉鎖。以後、バーツも株も下落が続いた。
 9日、状況は急変した。サマック首相はテレビの料理番組に出演し副収入を得ていたため、最高裁判所命令によって国務大臣の副業禁止規定違反を理由に失職することとなった。これを受けて最大与党PPP(国民の力党)はタクシン元首相の弟ソムチャイを首相候補に指名。25日、この人事が国王に承認され、正式にソムチャイ政権の発足となった。PADは、タクシンの関係者が多い新政権を承認せず首相府占拠は続けられている。発足した新政権の閣議はドンムアン空港の一室に作られた臨時首相府で開かれることになっており、政局の混迷はまだ続く見通しである。

■ブラジル■ドル決済廃止
 ブラジルのルラ大統領と同国を訪問中のアルゼンチンのフェルナンデス大統領はブラジリアで会談し、両国間の貿易決済をドルではなく両国の通貨で行う協定を結んだ。両国通貨による決済は10月3日から開始される。これにより両国間の約300億ドルの貿易額がドル経済圏から離れ、ドルの変動の影響からまぬかれる。南米諸国独自の「南銀行」の推進とも相まって、南米諸国のドル経済圏からの離脱が始まっている。両国の動きは今後南米全体に向けた拡大の第一歩である。


■ボリビア■南米諸国連合、右派野党の暴動に抗議
 ボリビア北東部では武装した右派により政府事務所、空港、報道機関などが襲撃され多数の死傷者が出ている。暴動は石油資源国有化政策などによる既得権の剥奪を恐れた資本家や地主が「自治権拡大」を名目に起こしたもので、クーデターによる政府転覆を狙うアメリカはこれを支援している。今年五月発足した南米12ヶ国からなる南米諸国連合は15日、チリのサンチアゴでこの問題について緊急首脳会議を開き、モラレス大統領全面支持の立場で一致し、野党へ暴力停止を要求した。
■ベネズエラ■セメント外資を国有化
 チャベス大統領は今年4月、セメント企業の国有化方針を発表、それにより外資企業と交渉を続けてきたが、9月20日までにホルシム(スイス)、ラファルジュ(仏)、セメックス(メキシコ)の3社から株式の大半を取得し国有化する事が決まった。ラミレス石油相は企業利益よりも労働者の利益が優先されることを強調、労働条件の改善に取り組む。今後は輸出よりも国内民間向けが主力となる見通し。


■グルジア■南オセチア自治巡りロシア軍と交戦
 8月7日のグルジア軍による南オセチアへの侵攻に対抗し、翌8日、ロシア軍によるグルジア侵攻が行われた。また9日にはグルジア全土への空爆が開始された。10日にはグルジア最西端にあって分離独立を要求し度々紛争が起こっていたアブハジア自治共和国に駐留するグルジア軍に対してもロシア軍の空爆が行われた。紛争地域は黒海にも拡がり、ロシア軍戦闘機のミサイルによってグルジア軍駆逐艦が撃沈された。戦闘は事実上13日までで終わったと見られるが、26日、ロシアはアブハジアと南オセチアを独立国として承認し、アメリカ及びヨーロッパ各国はこれを非難している。
 南オセチアとアブハジアはそれぞれグルジア内部の一地方であるが分離独立を要求して紛争となってきた。ロシアが両地域を支援し今回のような事態となったが、グルジアのサアカシュビリ大統領の親米政策はロシアとの対立を深める要素となっている。少数民族の自立の意志と権利がロシア及びグルジアの大国主義、それを利用する米国などによって翻弄されている。

■米国■インドに核協力
 9月6日NSG(原子力供給国グループ、日本など45カ国)臨時総会はアメリカの主導によって、NPT(核不拡散条約)未加盟のインドに対して、核関連輸出禁止措置の解除と米印間の原子力協力協定を全会一致で承認した。
 NPTは核保有を5ヶ国(米露英仏中)だけの独占とし、他の国には条約加盟と引き換えに「平和利用目的」核関連技術や物資の供給をするという不平等な条約である。そもそも原子力は「平和利用」であろうとも危険なことに変わりはないが、NPTには各国の核開発を監視する役割があった。しかし今回アメリカはこの原則さえ踏みにじってインドに特別優遇措置を与えたことになり、NPTの形骸化はまぬがれない。日本では米印原子力協力協定とこれに承認を与えた日本政府に対して、広島県被曝者団体協議会、原水協、原水禁などが抗議の座り込みをおこなった。

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