米国民衆は「ブッシュ NO」「変革」を選択
日本の対米追随政治を変えるチャンスだ
第一回 オバマ大統領誕生の歴史的意義と勝因をどうみるか
人種差別を越えた草の根民衆の変革への熱望
第1に、米国の民衆が建国以来の人種差別の壁を越えて、米帝国の没落の危機からの再生の夢を、アフリカ・ケニア出身のムスリム(イスラーム教徒)の父とアメリカ白人の母を持つマイノリテイ(少数派)の黒人オバマ氏に託したことの歴史的意義である。
アメリカ大陸の発見以来500年余、1776年の建国から232年。白人支配のアメリカは、先住民族インデイオの土地と文化を奪い、カリブの島々を侵略し、アフリカから労働力として黒人を連れてきて近代奴隷制に立つ市民社会を形成した。その後、イギリスからの独立戦争と1863年の「奴隷解放宣言」をへて帝国への道を踏み出し、20世紀後半には世界帝国として「パクス・アメリカーナ」の一時代を謳歌したアメリカ。その建国から世界帝国への歴史に厳然と貫かれた人種差別を考える時、オバマ大統領の誕生は、1960年代のキング牧師らの公民権運動など永きにわたる自由と公正、人権を求める社会運動の成果の上に切り開かれた画期的な歴史的出来事である。
ブッシュ路線にノー!
第2に、このことは、裏を返せば、レーガン以来の弱肉強食の新自由主義路線、利潤本位・国益本位の単独行動主義と先制攻撃型戦略によって世界一の戦争機械国家になり果て、イラク・アフガン侵略占領戦争や地球温暖化の放置など、全世界の民衆を地球丸ごと地獄の淵に引きずり込む「人類の敵」となったブッシュ政権とその路線への米国民衆の「ノー」を示すものだということである。
第3に、オバマ圧勝を決定的に深部から押し上げた力は、今秋9月のリーマン・ブラザーズ破綻など米国発世界金融恐慌の急進展である。大銀行からGMなど米産業の中枢に破綻が拡がり、倒産・首切りが続出し、よって生活と未来への不安を抱く草の根民衆をして変革への熱望をつき動かし、他方で米国支配階級の危機からの脱出と延命への思惑が、オバマ民主党の「チェンジ(変革)」の呼びかけに雪崩を打ったといえる。資本主義の「死の苦悶」にあえぐ欧米先進諸国の深部で動いている巨大な地殻変動の裂け目から噴出する変革へのマグマの政治的表出といえる。
米国社会の分裂の危機
オバマ氏はその勝利演説で、「米国民主主義の力」を強調し、「若者と高齢者、富めるものと貧しい者、黒人と白人、ヒスパニック、アジア系、アメリカ先住民…が出した答えだ」と述べ、「アメリカン・ドリームの再生」に向かって「われわれは一つであり、われわれは出来る」と呼びかけ、人々の歓喜の拍手に包まれた。それは、ブッシュ政権下で、米国社会の分裂と解体・崩壊の危機がどれほど深いものであったかをしめしている。
その意味で、第4に、オバマ氏の「チェンジ(変革)」の呼びかけの勝利は、アメリカ社会のこの分裂の危機を、妥協・宥和、多民族・多文化・多元性の主体的統一を、アメリカ建国以来の合衆国の「夢」に再統一することで、見事に米国の伝統的民主主義に糾合したことを意味している。
ここにオバマ氏の登場を必要とした米国型資本主義とその階級支配の社会的危機の惨状、米国における階級闘争の現段階と矛盾、今後の課題もはらまれている。
オバマ新政権の階級的本質と基本路線をどうみるか
現在、来年1月20日の新政権発足へ、その骨格と基本政策の準備が急ピッチで進んでいる。新政権が、ブッシュの路線・政策と本当に決別し、転換することができるか否か。
とりわけ「明日からの難題」として、就任16ヶ月以内のイラク撤収の選挙公約とアフガニスタンを対テロ戦争の主戦場として増派する方向の行方。金融危機政策として公共投資を中心とする「オバマ版ニューデイール」路線の実施に当たって、シテイバンクなどの破綻やGM―ビッグスリーなど大企業破綻の救済に際して、米国民の大多数を占める労働者・貧困層の味方に立つのか否か。すでに開始されている新政権への白人保守層からの圧力と切り崩しへの対応の如何をふくめ、次第にその本質が現れてこよう。
わたしたちは、彼が何を言ったかではなく、何をなすのかを見なければならない。
次号以降、具体的にみていく。 (生)
構成
1、アフリカ系黒人大統領誕生の歴史的意義と勝因をどうみるか(今号)
2、オバマ新政権の階級的本質と基本路線(以下次号)
3、世界の変革へのうねりー日米安保同盟下の対米追随政治を
終わりに
伊藤和也さんの死を無にするな
―新テロ特措法延長に反対する |
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尾形憲(法政大学名誉教授・元イラク派兵違憲訴訟の会・東京代表) |
麻生政府は、30日に会期末となる臨時国会の12月末までの延長の方向をきめた。狙いは、言うまでも無く、米軍のアフガン侵略戦争への給油のための特措法とバクチに踊った大銀行の破綻を救済するための金融機能強化法案を、「60日」条項をもって強行成立させるためである。年末に向かって、強行成立許さぬ闘いを強めよう。
新テロ特措法により、海上自衛隊は今年の2月から8月までだけで、米英など8カ国の艦船に延べ44回、7600キロリットルを給油している。給油された燃料はイラク作戦にも転用されている。その艦載機の空爆などによる民間人の死者は07年に6000人、今年は10月半ばまでですでに5000人に達している。その一方多国籍軍の死者もアフガン攻撃以来最悪だった昨年の232人を上回り、開戦以来これまでに1000人を超えた。
開戦1ヶ月で、アフガンのタリバン政権は打倒され米国の支援によるカルザイ政権が成立した。だが、それから7年、現在6万人を超える多国籍軍の討伐活動にかかわらず治安はむしろ悪化の一途である。
省都カブールでさえ幹線道路が閉鎖され街中で渋滞が起きているという。人々は連年の干ばつに強いケシの栽培に頼らざるをえず、跡を絶たない麻薬密輸はタリバンの資金源となっている。また紛争に加え干ばつや食料価格の高騰によって、人口の6分の1が食料不足に陥っていると伝えられる。
大統領選挙を来年に控えたカルザイ氏が武力による解決に見切りをつけ、反政府タリバンの指導部に和平
の交渉を呼びかけることになったのは、こうした背景がある。
英BBC放送の世界23カ国を対象にした調査によれば、米国の圧倒的な軍事力にもかかわらず、米国の対テロ戦争は国際テロ組織の弱体化に「効果なし」が29%、「巨大化させた」が30%、「弱体化させた」はわずかに22%となっており、対テロ戦争で「アルカイダと米国とどちらが勝利しつつあるか」という問いに「アルカイダ」が10%、「アメリカ」が22%、約半数の47%が「どちらでもない」と答えている。またアフガンについては駐アフガン英司令官が「軍事力では勝てない」と明言しており、国連特別代表がアフガンの治安は戦後最悪になっていると指摘している。国内で実権を握っているパキスタンとアフガンの部族指導者たちの異例の足並みを揃えた勧告もあり、アフガンでの政府に加えてアメリカ自身がタリバンとの協議に傾いているのは当然である。オバマ新米大統領は増派というが、さらなる泥沼は見えている。
こうしたときに、目途のない武力解決に力をかす給油活動をさらに続けようという日本政府は何を考えているのか。以前非常に良か
ったイスラムの対日感情はアフガン侵略戦争への日本の加担をきっかけに一挙に悪化し、星条旗やユニオン・ジャックと一緒に日章旗が燃やされる事件もあった。この8月イスラムに献身的な活動を続けてきたペシャワール会の伊藤和也さんが凶弾に倒れたのも、その犠牲と見てよい。こうしたとき、新テロ特措法の延長は時流に逆らって火に油を注ぐものに他ならない。
●10・31大阪高裁判決大江・岩波書店側の大勝利!
沖縄戦の最中、座間味・渡嘉敷両島で起きた「集団自決」(強制集団死)をめぐり、両島に駐在していた日本軍の戦隊長が住民に自決を命じたとの記述は誤りだとして、座間味島元戦隊長の梅澤裕氏らが「沖縄ノート」著者の作家大江健三郎氏と版元の岩波書店に出版差し止めなどを求めた裁判(いわゆる大江・岩波書店裁判)の控訴審で、10月31日判決が言い渡された。判決は、原告に対する「控訴棄却」。一審に続き大江・岩波書店側の大勝利となった。一方、原告側は判決を不服として最高裁へ控訴した。
同判決では、座間味・渡嘉敷両島戦隊長による直接命令の事実は断定できないとしたものの、両島における「集団自決」について、日本軍の深い関与を認めた。そして出版当時、記述に真実相当性が認められ、出版継続は不法行為には当たらないとした。また、出版継続で元戦隊長らが重大な不
利益を受けたとは認められないと判断した。
原告がこの裁判を起こした目的は、端的に言って、沖縄戦の真実をひっくり返すことにある。強制された死を国のために住民自らが選びとった美しい死へと塗り替えること。それは日本を再び「戦争のできる国」にするためにどうしても必要な作業だ。事実、この提訴を一つの根拠として高校歴史教科書が書き換えられ、「集団自決」への日本軍関与があいまいにされた。
11月20日、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会、沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会、大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会の3団体代表らは、この勝訴を受けて、文科省に教科書検定における沖縄戦に関する検定意見の撤回、現行検定制度の見直しなどを要請した。しかし、文科省の徳久審議官は、「裁判はあくまで検定意見の契機。判断は総合的におこなった」と開き直っている。
私たちはこの高裁判決を武器に、もう一度教科書の中に真実を取り戻さなければならない。全国各地で沖縄戦に関する検定意見撤回を求める運動を巻き起こそう。そして、最高裁に対して上告の棄却を求める声を大きく上げよう。
音楽と講演
佐渡山豊in琵琶湖ライブ〜変わりゆく時代の中で〜
& 講演「琉球の自治」 |
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主催:滋賀・沖縄県人会、
連帯ユニオン関西地区生コン支部
・京津・湖東ブロック・朝日分会 |
11月3日、滋賀県・栗東芸術文化会館において、「佐渡山豊in琵琶湖ライブ〜変わりゆく時代の中で〜」が、滋賀・沖縄県人会、連帯ユニオン関西地区生コン支部・京津・湖東ブロック・朝日分会の主催で開催され、200人が参加した。
集会では、滋賀・沖縄県人会による三線演奏が行われ、続いて、連帯ユニオン関西地区生コン支部・高副委員長が催者挨拶。
続いて、龍谷大学准教授・NPO法人「ゆいまーる琉球の自治」代表・松島泰勝氏が「琉球の自治」をテーマに講演した。以下、講演要旨を紹介する。(関西通信員H)
講演「琉球の自治」(要旨)
〈過酷な被支配の歴史〉
1609年に薩摩藩が琉球王国に侵攻・支配した。1879年には、明治政府による琉球処分があり、沖縄県となった。それ以来、徹底した皇民化教育が実施された。
地上戦が沖縄で行われたのは日本政府の「捨石作戦」による。ここで起きた「集団死」について、日本政府は昨年、無理やり歴史教科書を書き換えさせた。これに対し11万数千人が抗議の声を上げたが、この根底には薩摩藩侵攻以来400年の怒りがある。
戦後、沖縄は米軍によって支配された。1972年復帰後、東京に沖縄開発庁が設置され、東京から沖縄を支配する構造がつくられた。沖縄の公共工事の多くは本土の業者が行い、予算の半分は本土に返る。また、沖縄では「米軍基地がないと生きていけない」と思い込まされているが、米軍基地による経済効果は薄い。
〈土地共有制続ける久高島〉
今、自分は沖縄の島々を回り、島の未来を考え、議論する集いを開催している。久高島では、現在も土地の共有制を続けている。一時、リゾート計画があったが、島の女性たちの反対で拒否された。島の人々の価値観は、お金ではなく、みんなで助け合いながら生きていく島の生活や静かな環境だ。一方で西表島や石垣島では資本の暴走が顕著だ。特に石垣島では本土のリゾート業者が多く進出し、島は食い物にされている。
〈国連から先住民族と認定〉
日本の中で沖縄の人々の意見を実現することは難しい。そういうことを考えている中で、アイヌ民族と出会った。アイヌ民族は国連に毎年代表者を派遣し、先住民族としての立場を訴えていた。それを見て、自分たちも一緒に国連に代表者を派遣した。アイヌ民族についてはすでに日本の先住民族として認める国会決議が挙がっているが、今年10月30日、国連の市民的及び政治的権利に関する人権委員会で、日本政府に対し「アイヌ民族と琉球民族を先住民族として認め、文化遺産や伝統、生活様式の保護・促進を講ずべき」という勧告が出された。国連で、初めて琉球民族が先住民族として認められたのだ。
〈自治をつくり、つなげる〉
また、国際的な視点で琉球を捉えることが重要だ。パラオでは、様々な方法で島の自治を行っている。土地の外国企業による所有を認めず、進出する企業に対し、環境・文化を守ることなどの厳しい基準を設けている。また、経営者の中にパラオ人を入れなければならない。
沖縄では、「独立」を主張する人もいる。しかし、独立することで全てが解決するわけではない。島の人々が自分たちの頭で「どうやって島を守るのか、どうやって自治していくのか」を考え、実行していくことが重要だ。
日本には、アイヌ民族もいれば琉球民族もいる、多民族社会だ。それぞれがお互いの違いを認め合い、それぞれが自治をし、それをつなげていくことが重要ではないか。 ■農林中金、バクチ投資が裏目
農林中金は全国のJA(農協)から集めた巨額の資金を運用して利益を出していた。90年代後半以降、投資先を国内から海外へと切り替え、08年にはその運用益は3000億円にのぼった。しかし、今回の金融崩壊によって一転、09年度の経常利益予想3500億円を大幅に下回る1000億円となる見通し。保有する証券化商品は6・8兆円あり、金融危機によって株式など保有有価証券の損失額1千億円を計上する。市場運用資産45兆円の巨体をもってバクチ投資したのが裏目に出た。このツケは全国農民に回されるのか!
■6大金融グループの利益激減
11月18日までに発表された三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、中央三井トラスト・ホールディングス、住友信託銀行(6大金融グループ)の9月中間決算によると、全グループが純益2ケタ減益となり、合計額は前年同期比58%減の3983億円。株の大幅下落による損失処理が拡大し、6社合計の純利益は06年9月の最高益1兆7352億円から2年で4分の1に転落した。
■3メガバンクの貸し渋り・貸しはがし
三菱UFJ、みずほ、三井住友の大手3銀行からの中小企業向け貸し出しがこの1年で、3兆1200億円も減少したことがわかった。貸し渋り、貸しはがしの進行を物語っている。
■非正規労働者の解雇3万67人に
厚生労働省の11月調査によれば、この10月から09年3月までの予定を加えて「派遣切り」など非正規雇用・雇い止めで失業者が30067人に。うち、違法である派遣労働の中途解除が7割を占めている。トヨタ自動車など輸出大企業に解雇が横行。また、今後、大学生・高校生の内定取り消しもふくめ、さらに大規模な解雇が予想される。
■貸し渋りが建設など3業種に集中
全国商工会連合会の調査により、貸し渋り・貸しはがしが建設・小売り・サービス業の3業種に集中していることがわかった。新規融資や契約更新の突然の拒否、返済要求などといった事例が多数あり、半年間は融資できないと言われたり、金利を2〜3%から12%に引き上げたりという例もあった。
■町工場に仕事がない
中小企業に対して国が20兆円の緊急保証制度を設けた貸し付けが始まったが、仕事がなければ返済の目途も立たない。東京大田区の約4700軒の中小零細の製造業への聞き取り調査では景況感が「良い」との回答から「悪い」を引いた指数は7〜9月期でマイナス49・4。前年同期のマイナス23と比較しても急激に悪化している。
■米原潜沖縄にくるな!
米原潜の沖縄寄港は今年すでに36回となり、昨年の24回を大幅に上回っている。これに抗議し、11月18日、米原潜の寄港や、原子力空母Gワシントンと自衛隊の沖縄周辺海域での共同訓練、テロ特措法延長などに反対する集会が那覇市県民広場で開かれた。
■派遣法改定案を閣議決定
政府は4日、日雇い派遣の原則禁止などを盛り込んだ労働者派遣法の改定案を決定した。しかし、不安定雇用を生み出している「登録型派遣」など野放しで、労働者保護には到底不充分な内容である。
■イラクからの空自撤収命令
政府はイラクの空輸支援活動をしている航空自衛隊の年内撤収を進めるため28日にも撤収命令を出した。陸自のサマワからの06年7月の撤収につづいてこれでイラク特措法による自衛隊の活動は終了することになる。
■日弁連が派遣法抜本的解決を求める院内集会
11月20日、日弁連はワーキングプアの解消を求めて「労働者派遣法の抜本的改正を求める院内集会」を衆議院第一議員会館で開いた。派遣労働者からも実態告発があった。
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