 ●フランスに吹く新しい風
2月8日、フランス左翼潮流の中に、これまでにない大きな可能性を持った左翼新党が誕生した。ニューズウィーク誌2月11日号は、これを「郵便局員が率いる『共産主義』革命」と大きく報じた。
2月5日、フランスのLCR(革命的共産主義者同盟)は、450名の代議員と100名の海外代表団を迎えて、解散総会を開き、6〜8日のNPA創立大会に合流したのである。その新党結成に結集したのは、3200名の旧LCR党員の3倍もの活動家たちであった。登録された党員数は、9123名。結成後も増え続けている。大会は社共を始め、ほぼ全左翼組織の来賓出席のもと、公開の場で民主的討議により進められ、多数派による独占ではなく少数派も参加する指導部を選出した。そして党規約や6月に迫る欧州議会選挙の方針などを討議し、「ゼネストで闘おう!」とのスローガンを採択し、インターナショナル斉唱で終わった。
●資本主義の改良か変革か
この新しいNPAの「顔」オリビエ・ブザンスノは、34歳の現役郵便局員。「支持率は60%に達し、そのうち45%は彼の影響力が増すことを期待している」(ニューズウィーク誌)と報じられ、2月14日の世論調査でも8ヶ月間連続で「サルコジの最強の対立候補」に選ばれ続けている。
彼は2002年、2007年の大統領選挙にLCRから立候補し、2007年の選挙では全候補者中5位に踊りでた。この年の選挙は前回の「ルペンショック」(注)の再来を避ける心理が働き、左派票のほとんどが社会党ロワイヤル候補に集中した。そのため全左派系候補は2%以下に落ち込んでしまったが、その中で唯一、ブザンスノ候補だけが4%(約150万票)を獲得したのである。
この時以後、フランス左翼は事実上二つの潮流に分解したといっていい。社会党を中心に左派の幅広い統一戦線を目指す改良主義的な中道左派勢力と、資本主義の根底からの変革に挑戦するLCRの二つの流れである。
●欧州革命左派潮流の挑戦
LCRは大統領選挙の直後、これまでのLCRの基準(トロツキズム)に縛られない、反資本主義の新たな党を結成する事を宣言した。それが今回のNPA創立となったのである。NPAは中道路線を拒否する左派潮流をひとつにまとめる役割を果たそうとしている。社会党との連立を拒否し、資本主義の「行き過ぎの緩和」ではなく、根本的変革を目的に掲げている。NPAの成功はLCRが参加してきた欧州反資本主義左翼会議に結集する革命派の運動発展にも力を与えるだろう。6月の欧州議会に他の諸国の革命左派と共にNPAが議席を獲得するのは確実と見られる。そしてそれは資本主義ヨーロッパを震撼させずにはおかない。(編集部 M)  ※編集部注・ルペンショックとは
仏大統領選挙は過半数を制する候補がいない場合、上位2名で決選投票を行う。2002年の選挙では左派票が革命左派に多く流れたために、社会党ジョスパンが落選し、右派シラクと極右ルペンの間での決選投票となってしまった。 今号では、3月19日付け韓国インターネット新聞《チャムセサン》に掲載されたフランスの第2次ゼネストとヨーロッパでの経済危機に対する労働者民衆の闘い(抜粋)を伝えている記事を紹介します。訳/黄
■ フランス2次全国ゼネスト、
民間部門も加勢
「国民の74%が、ゼネストは正当である」(ピョン・ジョンピル記者)
フランス労働者たちが再びゼネストに立ち上がった。去る1月の250万人の全国ゼネストに続く第2次ゼネストである。19日、フランス全域にわたる200余カ所でのゼネストとデモ行進が進行中である。
今回のストライキには、フランス国営鉄道、パリ交通公社、バス、港湾などの運送部門の労働者たちとガス公社、電力公社、郵便局、公務員など公共部門の労働者たちが主導した。フランス国営鉄道は、高速列車中40%の運行が止まった。
《ロイター》は18日、今回のゼネストで民間部門労働者の参加も目に映ったと報道した。フランソワ・シェレック民主労働同盟(CFDT)委員長は、「今回の2次ゼネストは1次ゼネストを凌駕する規模」と語り、「民間部門の全ての労働団体も加勢している」と明らかにした。ある労働組合関係者は、《ロイター》に「不平等という大変強い感情が沸き上がっている。政府は私たちを無視出来ないだろう。無視すれば無責任である」と語った。
19日のゼネストに参加を訴えた労働界は、サルコジ政府が経済危機に対する代案に景気浮揚策を推進しているが、労働者よりは企業と金融界にだけ金を流し、結局「金持ち」だけのための対策を推進していると批判した。労働者たちは、雇用保障と賃金引き上げ、高収益者たちに対する税金の引き上げ、公共部門の解雇中断などを要求している。
■ 金融と巨大企業だけを
肥らすと非難
サルコジ政府は、260億ユーロの景気浮揚策をいち早く導入した。1月29日ゼネスト以後も、サルコジ政府は追加として265億ユーロを導入する措置を執った。政府は、今回のゼネストに対してもより以上の妥協はない、以前から執っている対策が効果を発揮している、と主張した。これ以上負債を増やすことは出来ないと固執している。
反資本主義新党(NPA)を初めとする10左派政党と組織なども、今回のゼネストに先立ち闘争を訴えた。彼らはサルコジ政府が「危機の根を引き抜くどころか、むしろ危機を育てている」と言い、「数十億ユーロがある方向へ、金融と巨大企業にだけ向かっている」と非難した。他の方式の接近が必要であるという話である。
最近フランスでは、大学生たちが教育改革に反対するデモも激烈である。貧民街では失業青年たちが警察としきりに衝突するなど不満の兆候が現れ、サルコジ政府は危機に逢着している。経済日刊紙などの調査では、応答者の74%は、「今回のゼネストは正当である」と支持を送っている。 ■ ユーロ経済危機不満
ゼネスト拡散
《ロイター》は18日、世界経済危機で、今年ユーロの至る所で抵抗が起こっていると報道した。
●ボスニア/ボスニアのイスラム系・クロアチア系連邦議会は、2月26日会期を中断した。予算削減に抗議するデモ隊に対抗するより中断する方が良いという判断である。
●英国/主要エネルギー企業発電所が移住労働者を雇用するのに反対するストライキがあった。2月5日、トータルは英国労働者たちを多く雇用すると約束しストライキは収束した。
●ブルガリア/3月9日、クレミコプチ製鋼所で解雇が予想されるや、賃金不払い解決と雇用保障を要求したストライキがあった。ソピア地域では警官たちが50%の賃金引き上げと労働条件向上を要求しストライキを行った。
●チェコ/3月2日、チェコ、ドイツ、オーストリア、スロバキア、プロベニァ、ポーランドで、全ての農民たちが牛乳価格の引き上げと経済危機による所得保全のための補助金支給を要求し抗議した。
●ドイツ/1万五千名のオペル労働者たちが2月26日ドイツ本社の前で、切迫したGMのユーロ工場閉鎖計画撤回を要求しデモを行った。
●ギリシャ/昨年12月、15歳の少年が警察の暴力で死亡した怒りが爆発した。青年失業に対する怒りが、全国的な抵抗へ拡がる発火点の役割をした。警察と銀行に対する攻撃も起こった。250万名の労働者を代表している労働組合は、政府は貧民たちに経済危機の荷を負わしていると非難し、繰り返しゼネストを行っている。1千名以上の左派労働組合活動家たちは、3月17日労働者たちの権利を保護せよとアテネを行進した。
●ハンガリー/警察は3月15日、ブダペストであった反政府デモを解散させるため催涙ガスを散布し35名を逮捕した。
●ラトビア/所得下落に対し農民たちがストライキを行い2月3日農林部長官が辞任した。
●モンテネグロ/アルミニウム労働者たちが2月9日、ロシア所有の工場再開を要求しデモを繰り広げた。
●ポルトガル/数千名の労働者たちが3月13日、リスボンで社会党政府の政策に反対するデモを行った。労働組合などは失業率が増加し金持ちだけが利益を生んでいると非難した。
●ロシア/1千名の労働者たちが3月15日行進を行い、政府の辞任を要求した。12月と1月の2ヶ月間で約80万名のロシア人たちが職を失い、600万名以上が失業状態である。3月14日16名の鉄鋼労働者たちが賃金引き上げを求めた断食籠城を終息した。(終)榎原 均(えばら・ひとし) これは、昨年11月の東京におけるアソシエ21労働講座で、「世界金融恐慌と労働者の闘い」をテーマに、講師の榎原均さんが話されたものの一部です。ここでは、新たな理論的問題提起をすると共に、共同して研究するためのプランも提起され、今後の共同研究への参画を呼びかけています。世界信用・金融恐慌の勃発が、今後の革命運動にとって、マルクスの資本主義批判の復権と新たな理論的深化を不可避としています。その問題に応える、一つの問題提起として、この報告を取り上げました。コモンズ編集部
@.金融資本は解消したのか
現在、はたして金融資本というものはあるのかどうか?ということについて、実証的な研究をやるべきと思っています。
資本論は現実資本の分析が中心であるのですが、第三部第五編で架空資本の分析を試みています。ヒルファーディングの『金融資本論』は信用と架空資本の分析をしていますが、産業における独占体の分析です。
「金融資本とは『銀行が処理し産業資本家が充用する資本である。』(『金融資本論』国民文庫、下、P89)の分析へとヒルファーディングは収斂させた。」
彼の分析はとても面白いのですが、「つまり当時のドイツの現実からの抽象として、貨幣資本を蓄積した銀行は、それを産業に投下し、産業を管理することが中心的な任務になるとした」から、限界がある。
しかし80年代以降、巨大商業銀行は多国籍化し、投機(ディーリング)で利益を出すようになった。当時、レーガン・中曽根・サッチャーといわれていて、日本が新自由主義を導入したのが80年代といわれています。実際には日本は大分遅れた。中曽根は国鉄の民営化ということはやったが、新自由主義政策で社会全体を改変することでは遅れた。それは、小泉改革になってから。イギリスが典型で、サッチャーがやり、途中で投げ出して、労働党が政権をとって、新自由主義で「福祉国家」を解体された社会をどうやって再建するのか?ということを、今労働党がやっていることです。いまイギリスでやっていることが、今後の日本を考える上で役に立つと思い、イギリス・モデルをちゃんと研究しなければいけない。
では、なんで中曽根の時、日本で新自由主義をやらなかったかといえば、実はあの時日本は世界一の金融大国だった。80年代後半、世界の銀行のトップテンの中に日本の銀行は七つぐらい入っている。ですから、新自由主義はいらなかった。ところが、アメリカとヨーロッパが連合を組んで、日本を潰しにかかりまして、潰されてしまいました。BIS規制とか。ああいうのは策略だと思いますね。そういうふうに、日本の当局者は、総括をしない。宮沢喜一が東南アジアを中心に独自の経済圏を構想しようとしました。これは当然アメリカの国益とぶつかる。そこでどういう視点を持っていかなければいけないのか?少しも考えようとしない。びっくりしますね、これは余談です。
言いたかったことは、日本における新自由主義の導入が遅れたことは、一時期世界一の金融大国になっていた、ジャパンアズナンバーワンという懐かしい言葉がありましたけど。そんな事由によっている。その時に日本の銀行が何をやっていたかというと、ロンドン支店でリーディングをやっていた。リーディングというのは外国為替の取引。その差額で儲けていたわけです。銀行というのは、基本的に預かったお金を貸して、貸し付けたお金の利子で儲けるというのが基本的に商業銀行の姿ですが、その時にはすでに、リーディングの利益の方が利子で稼ぐよりも多かったのです。ですから、金融資本が変質していくというのはそのころからです。一方、大企業の方も、トヨタなんかトヨタ銀行といわれるほど大きな額のお金を持っていて、銀行離れをしていて、債券市場から資金調達するほどになっている。それで、銀行はそのお手伝い、こういう感じになっていました。そうすると銀行と産業との癒着は、貨幣取り扱い業や債権発行業務での関連しか見られない、こういうことになります。伝統的な癒着が変化していることを、実証的に調べて欲しいと思っています。
A.投機で資本蓄積する資本家の支配は、
どのようにして形成されたか
「従来、投機は資本蓄積の王道とは見なされていなかった。しかし今日では、投資ファンドや投資銀行といった本来の投機的資本家のみならず、商業銀行も投機的取引で利益を上げるようになり、産業に対する投機資本家の支配が形成された。」
何故、中小企業に金が回らないのか
貸し剥がしのことですが、テレビを見ていたら、何で中小企業にお金が回らないのか、と議論していました。一方で貸し剥がしがあると言っていて、他方では貸そうと思っても貸せないと言っていた。それは嘘で、銀行が沢山のやばい金融資産を持つことで財務事情が悪化していて、自己資本を何とか回復させるために貸し剥がしをしているのが本当のところです。そのことを言わずに、中小企業の経営がピンチだから貸せないと。これは、貸さないからピンチになってるだけの話。そういう意味では、日本の地方銀行にしても金融の機能が麻痺しているのが事実と思います。それで、政府は中小企業のために公的資金の投入ということになっていると思うのです。僕はやったらいいと思うのです。
研究すべきポイント
研究すべきポイントということであげてみます。
「こうして、金融資本の蓄積様式とは異なる独自の蓄積様式がどのように形成されているか、ということが実証的に研究されねばならない課題となった。投機が独自の蓄積様式となる条件を考えてみると、技術的条件はオンラインシステムによる世界単一の資本市場の形成であろう。これによって、投機にかかる費用がゼロに近くなった。経済的条件は、資本市場がつねに拡大することであり、そのための方法を開拓した。(一つは)アメリカの赤字による世界中からの資本の招き寄せ・・・」ということです。二つは、「コーポレートガバナンス」。これはこういうことです。経営の最高責任者(CEO)というのをつくって、これに何億円という報酬を払うわけです。その人に何をやらせるかといったら、株主にどんどん配当を払うことと、自社株の購入をやらせること、株式市場に金を全部吸い上げるという任務です。そのことやらせた結果、何億という報酬を払うということになっている。さっき引用したジャンの言うのには、CEOは、〈黄金で作られた牢獄〉に入ったようなものだと。何億円ともらったってやっていることは株式会社を壊すようなことしかやっていない。株式会社を立ち行かないようにしてまで、金融市場にお金を吸い上げる。GMとかがしんどいのも結局そういうことをやってきたからです。リストラ、リストラと、どうしようもないところまで切り詰めて、投機市場にお金を上げていた結果、体力が無くなった。辛うじて日本の企業は、体力がありますから、一生懸命外国の企業を買ったりしています。これもアメリカで何か起こったらチャラですよ。
労働価値説の放擲とお金にお金を生ませるという利殖観
あと、「金融の証券化、大衆の投機市場への参画の促進のために、種々の金融商品の開発による貯蓄から投資へと誘導する。イデオロギー的には、労働価値説の放擲とお金にお金を生ませるという利殖観」の埋め込みです。つまり、『金持ち父さん』という本が出版されましたが、その中で、「貴方はお金をあそばしてはいませんか?一番賢いやり方は、お金にお金を生ませる利殖と投機ですよ」と書いてある。だから、結局アメリカの労働者は、賃労働者として企業で働きながら、年金基金を増やすことで、投機家の役割もさせられ、消費者であるとともに投機家である。階級構造がそうなっていると分析しなければと思います。資本―賃労働関係でだけでなく投機市場のプレイヤーになっている(勿論機関投資家に任せるのですが)構造です。そこは、いわゆる消費者として個別化され、それにプラスして、株式を持っていれば株の動向は気になり、労働者としての気質が失われるのではないか?と思うのです。
B.信用商品と信用資本の位置をどう定めるか
信用商品というのは、マルクスは使っていないかと思いますが、信用資本というのは使っていまして、資本論体系は「商品から貨幣が形成され、貨幣が資本に転化し、資本が生産されて、商品に戻る」となっているわけです。そういう「現実資本の循環とは異なる架空資本の循環様式」はいかなるものか。商品からの貨幣の生成――貨幣の商品化――利子生み資本の形成ですが、利子生み資本というのは、法的関係(貸借関係)ですから、それは債務証書になっているわけです。その債務証書が金融資産化するわけです。この金融資産の流動化というのは、売買されることですから、そういうことが架空資本の形成ということになるんじゃないかと、私は思います。
| ■6.信用論の諸問題と信用商品、信用資本の解明のための課題 |
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@.銀行信用論の再検討〈略〉
A.信用貨幣論の再検討〈略〉
B.通貨と金融資産の違い〈略〉
C.ドル危機論の再検討〈略〉
D.金融市場論の再検討〈略〉
E.信用資本主義と政策提言〈略〉
F.『資本論体系』との関係〈略〉
G.架空資本による現実資本の支配〈略〉
毛沢東が「溺れる犬をたたけ」と言いましたが、今、投機・信用資本主義の動きを徹底的に叩いておかないとまた復活します。国家が規制してもまた失敗するのは目に見えています。また、ケインズ主義の原理でやってもまた失敗します。ハイエクの「個人的自由主義」とか、フリードマンの「選択の自由」とかが、いかにまやかしなのかをハッキリさせておかなければならない。ハイエクとかフリードマンのあの主張は、実は社会主義や、社会民主主義への批判です。それに対して、左翼はちゃんと対処・批判していない。そんなことで、私は遅まきながら今後ともそんなところを追求していきます。〈終わり〉
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