第11号(2009/5/1)●3面
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朝鮮の「人工衛星」問題への「破壊措置命令」
戦争体制構築に利用した麻生自公政権

藤尾靖之(元反戦自衛官、米兵・自衛官人権ホットライン)


平和憲法下での交戦権の行使

 朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)の「人工衛星」発射に対する麻生政府の自衛隊法による「弾道ミサイル破壊措置命令」は、MDシステムという軍事力でもって朝鮮に対し憲法9条が禁じる交戦権を行使したことを意味します。
 国民から見れば頭上にもしかしたら落っこちてくるかもしれないミサイルから守ってくれる、つまり自然災害の一種とも見える状況を利用して政府は、有事態勢を発動し、東日本全土を軍事統制下に置いたということです。
 軍備増強にせよ、戦争態勢作りにせよ、国民を守り保護するという防衛的な方便を使うことなしには、いつの時代でも権力者の暴走とも言える戦争に国民を動員することができなかったことを思い出すべきでしょう。そのために国家権力は地震であれ、ロケットであれ、使えそうなものはすべて使い尽くそうとしています。

MDシステムが無力と知りながら何故?

 軍事的に見るならば、MDシステムは一部政府筋(朝日新聞3/31)が「(PAC3は)あたらないと思う」とぬけぬけと発言しましたが、それが正解です。
 すでに冷戦時代及びそれ以降、「多弾頭ミサイルによる飽和攻撃に対しミサイル迎撃は無力」と、学者などから指摘を受けてきました。その後も最良、最適の条件下で発射実験が続けられましたが、失敗続きで命中を演出することもままならなかったのです。
 にもかかわらず、MD計画は続けられてきたのは、対ソ冷戦時代の米軍の過剰軍事力(イージス艦など)とドル基軸国家・アメリカ経済での大きな存在である軍産複合体の延命のためといえます。
 またこれ見よがしにPAC3が全国に配備されましたが、政府自体が「危険地帯」とされた東北地方をカバーすることができないことを認め、また配備自体も首都圏が優先される始末です。つまり現在の自衛隊全MD迎撃部隊(イージス艦含む)をもってしても、ロケット1発に対応できないというのが実態でした。

有事法制の総仕上げの実戦化

 こうして麻生政府自体が何よりも認識していた通り、「国民を守る」などという実体はなかったというべきでしょう。にもかかわらず「朝鮮の脅威」を煽り、報道管制・統制を敷いて、「大本営ニュース」的な一方的な報道、地方自治体、民間に対する「エムネット」や防災行政無線などを通じた統制と動員が実行されました。
 自衛隊MD部隊等の全国への展開も、演習などではなく文字通りの「実戦」として、治安出兵として行われている事実は重大です。
 つまり、70年代ころの冷戦時代に検討され、ここ10年のうちに続々立法化されてきた有事態勢のいわば総仕上げとも言うべき事が行われたのです。
 比喩(ひゆ)的に言うならば、冷戦時代に核で武装した陸海空100万の超近代的な軍隊とみなされていたソ連軍を脅威の対象としてもできなかったことを、それに比べればはるかに貧弱な朝鮮の「人工衛星」が実現したというところに、現在の危機的状況があるといえます。

「海賊対策法」強行と連動した戦争体制の構築

 ソマリア沖への自衛隊派兵と衆院で強行採決された「海賊対策法」に見られる自衛隊の海外派兵のエスカレートと武力行使の拡大、それに対応した形での朝鮮の「人工衛星」を利用した国内における戦争体制の構築。これらは、一連の事態です。
 非常に「防衛的」装いでありながら、事実は麻生自公政府が朝鮮に対する「宣戦布告なき交戦権の行使」にいたったことを批判し、ここが大きな節目であることを肝に銘じる必要があるでしょう。
 再び宣戦布告なき侵略戦争に踏み出さないためにも、「海賊対策法」の強行ともども徹底的に、麻生自公政府を糾弾していかなければなりません。
(4月20日記)
4・14衆議院本会議において協定批准を可決
審議も尽くさず、たった8分の説明だけで採決強行
「グアム協定」可決糾弾!
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自衛隊ソマリア沖派遣に抗議の国会前座り込み
9条改憲阻止の会
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国内短信


横須賀で原子炉修理か
 昨年9月に米海軍原子力空母ジョージ・ワシントンが配備された横須賀基地に空母の原子炉修理用施設が造られていることが3月19日に開かれた米下院公聴会における米太平洋軍キーティング司令官の議会証言で分かった。日本政府や米軍は今まで「日本では原子炉修理をしない」と約束してきたが、施設建設の事実はこれをくつがえすものである。

君が代を強制する都教委
 3月31日、東京都教育委員会は、今年の卒業式で「日の丸」に向かって起立し「君が代」斉唱せよとの「職務命令への違反」を理由に公立学校職員12名を懲戒処分したと発表した。同日、都教職員研修センター前に教職員や市民があつまり不当処分に抗議した。「日の丸・君が代」を強制する10・23通達が出された2003年10月以来、処分を受けた教職員はのべ422人。06年9月に東京地裁で同通達は憲法違反との判決が出ているが、都教委は控訴し処分を続けている。

つくる会教科書が合格
 右翼学者の藤岡信勝を会長とする「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書が2008年度教科書検定に合格した。この教科書には日本軍による沖縄慶良間諸島住民への集団自決強制などの記述が一切ない。日本軍の犯罪を免罪し、旧日本帝国主義の侵略を美化する政治的意図をこどもに押しつけようとする有害教科書を許すな!

非正規19万人が失職
 昨年10月から今年6月までに失職またはその見通しのある非正規労働者が19万2千人に達した。都道府県別で最も多いのが愛知県で3万2千人。正社員の失職者も昨年10月から4月までに1万2千5百人と増大している。失業率は4%台に止まっているが、これは雇用を維持したままで休業が拡大しているため。今後の景気の動向によっては休業から失業へと転化していく可能性も高い。2月の休業者は総務省調べで145万人。前年同月比19万人増加している。

岩国に米軍基地はいらない!
 4・12愛宕山集会に2千人
 米国際戦略再編のもとで日本国内各地の基地再編が進んでいる。普天間基地返還に伴い、グアム移転協定、辺野古新基地建設、そして山口県岩国基地では、艦載機の移転が問題となってきた。住民投票による艦載機移転反対決議にもかかわらず、今度は愛宕山を削ってそこに米軍住宅を建設しようとしている。住民はこれに強く抗議し、反対署名は11万名に達した。
 4月12日、愛宕神社前公園で米軍住宅、施設の建設に反対する「4・12愛宕山大集会」が開かれ、2千人が参加した。集会あいさつの中で、井原前岩国市長は「米軍住宅はいらない、との声は民意である」と発言、岩国爆音訴訟原告からは「だまし討ち」をゆるさず運動の拡大が呼びかけられた。参加者全員で「ふるさと」を歌い、集会アピールを採択。最後に参加者全員によって「基地いらない」シンボルマークが掲げられ、基地に向かって一斉に「平和の紙飛行機」が飛ばされた。

米シティグループが傘下の証券会社などを売却へ
 米金融大手シティグループは業績悪化の建て直しのため傘下の日興シティホールディングスが持つ日興コーディアル証券、日興シティ信託銀行など証券各社、あるいはその一部業務を売却する方針が決まった。売却先としてすでに三菱、三井住友などが手を挙げている。

年金給付50%割れへ
 厚労省の試算によると、国民年金保険料納付率が現状の65%程度で推移した場合、将来の厚生年金の給付が現役世代の平均手取り収入の50%を割り込むことが明らかとなった。自公政権の公約実行が不可能ということになる。

柏崎刈羽原発また火災
 東京電力柏崎刈羽原発の予備品倉庫内で11日夜、火災が発生した。2007年の中越沖地震以来これで9回目。運転再開はまた延期となった。

安保理、議長声明で決着
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人工衛星打ち上げに対して麻生政府は国連安保理決議の採択に固執していたが、米中共同提案による議長声明採択で決着となった。これについて高須国連大使が日本の頑なな態度を記者団に指摘され、声を荒らげる場面もあった。この問題での過剰反応を世界から非難された日本政府は対朝鮮外交の変更を迫られることになる。

海外短信


アフリカへ財政出動を
 ロックミュージシャンのボブ・ゲルドフ氏が4月のロンドンG20サミット会場に現れた。インタビューに対し「この金融危機は頭でっかちの経済システムがひっくり返った」「アフリカの最貧国の債務帳消しに抵抗した先進国は金融危機の原因となった銀行の不良債権の債務帳消しには積極的ではないか」と答え、アフリカへの財政援助の必要性を訴えた。

ASEAN首脳会議、デモ隊乱入で中止
 4月11日タイのパタヤで開かれていた東南アジア諸国連合(ASEAN)の会議場にタクシン元首相派のデモ隊数千人が乱入したため、会議を中止、非常事態宣言が発令された。この事態で、主催国タイのアピシット現政権の国際的信用は失墜した。(タイの政情については本紙第4号6頁「海外短信」でも解説しています)


中南米にドルに代わる地域共通通貨「スクレ」を創設
 4月16日、中南米6カ国左派政権による「米州ボリバル代替機構」(ALBA)の首脳会議がベネズエラのクマナで開催された。首脳らは地域共通通貨「スクレ」を創設し、今後の加盟国間の貿易決済には、ドルに代わって使用する事に合意した。合意文書には6カ国と、オブザーバー参加のエクアドルも署名。この会議には他にセントビンセント・グレナディーンの首相も出席しALBA加盟を申請した。

中東欧経済一挙に破綻へ
 西欧資本の大量流入による経済成長がもたらす好景気に沸いていた東欧諸国が今、急速に経済失速に向かっている。そのため債務の返済が困難となり、市民生活も急速に悪化。企業の操業率低下と失業率の増大が起こっている。一方、多額の債権を持つ西側諸国も東側からの不良債権が自国金融機関を吹き飛ばしかねない状態にある。IMFからの支援も議論されているが、資金準備の絶対額の不足が懸念されている。
米政府、イラク・アフガン戦費に8兆円追加要求
 オバマ米大統領は訓練要員4千人を含め夏までにアフガンへ計2万1千人の増派を予定。4月9日、イラク・アフガニスタン戦費として834億ドル(8兆4千億円)の追加を議会に要求した。
アフガンへ5千人増派
 4月3〜4日開かれたNATO創設60周年首脳会議は、8月アフガン大統領選挙に向けた治安確保に3千人、アフガン国軍訓練のための派遣団、警官訓練のための治安派遣団など各国から合計5千人の部隊の増派を決めた。
 ストラスブールでは会議に抗議する市民らのデモが行われ、警察部隊と衝突した。
米失業率が8・5%に
 米労働省が3日に発表した3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比66万3千人減少し15カ月間で累計513万人が減少した。雇用者数は、昨年11月頃から毎月60万人以上も減少し続けている。現在の失業率は8・5%、失業者数は1316万人。悪化の一途をたどっている。
破綻に向かって転落を続けるGM、クライスラー
 経営破綻の瀬戸際にある米大手自動車産業ゼネラルモーターズ社(GM)とクライスラー社に対して政府は3月30日、条件付き支援策を提示した。
 GMに対してはワゴナー会長を引責辞任させ、60日分の運転資金を融資。その間に経費削減、財務体質改善、競争力向上を達成すれば支援を続けるができなかった場合は支援中止する。またクライスラー社は単独再建の見込み無しと判断し、30日以内のフィアット社との提携を求めた。両社ともリストラのため労組と交渉に入っており、大量解雇が出るのは必至と見られる。
 ところが政府は4月22日、GMに50億ドル、クライスラーに5億ドルを追加融資した。全く展望もないまま労働者だけを切り捨てる企業への公的資金の融資は、盗人に追いゼニをくれてやるようなものだ。
 両社の破綻は近いと見られ、それは世界経済もろとも転落へと導くだろう。

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