第16号(2009/10/5)●2〜3面
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新政権下の闘い、わたしはこう考える


武建一氏に聞く
(連帯ユニオン関西地区生コン支部委員長・中小企業組合総合研究所代表理事)

大政変への活用力で闘いの発展を!
政権交代をどう見るか

 これまで部分的には自・社・さきがけ連立政権とかありましたが、本格的な政権交代は今回が初めてです。戦後、自民党政権は、政・官・財の鉄のトライアングル体制をつくり、税金を特権階級の利益のために使い、その裏でワーキングプアにみる労働者の貧困・格差を拡大し、労働法制度の改悪によって非正規労働者が1700万人を超える状態を実行し、農業をつぶし、地方を疲弊させてきた。
 そういう意味では、単なる風で今回の政権交代ができたわけではない。魂を売って権力の提灯持ちをするような御用学者、技術者をもとりこにしてつくられた戦後の社会・経済・産業システムのいたるところで犠牲が生まれていて、それに対する国民の怒りの結果であり、それを反映して新しい政権が誕生した、と見るべきだと思います。
 しかし、民衆の中ではあくまで資本主義の枠内における改良を求める人たちが多数なので、この社会・産業システムを変えていけるという期待感は大いにあるが、そこまでいくかどうかは、やはり民衆の闘う力、それをリードする革命勢力の活動が大きく今後の政局に影響を及ぼすと、私は見ています。

鳩山新政権の課題

 来年の参議院選挙を考えた場合、マニフェストがごまかしだったということになれば逆の反動が出てきますから、やらなければならないことは、当然やると思います。
 例えば、予算の組み替え、後期高齢者医療制度の廃止、年金の最低保障。亀井大臣の中小企業への救済措置―「モラトリアム(徳政令)」は、本当に黒字倒産になりかねない中小企業が増えており、その貸しはがしを阻止するために3年間の支払猶予というのは、中小企業から共鳴される。それから郵政民営化の見直し、140以上に渡るダム建設の見直し。八ッ場ダムなど戦後50数年かかっても出来ないということは必要ないということです。また無駄な空港の問題。それは鉄とかセメントとかごく一部の大企業の需要創出となったが、中小企業にはほとんど仕事としてまわってこないし、雇用創出にもなっていない。ダムも空港も、言わば税金を食い物にした象徴的なことですから、見直さなければいけない。
 今、議論になっている普天間基地移転と辺野古新基地建設などの問題は、根本的には日米安保―日米軍事同盟に関わる問題です。新政権は「対等な日米同盟」を主張しているが、対等であれば単なる日米地位協定の見直しだけじゃなく、日米安保条約を一旦廃棄して対等・平等・互恵の精神に立った平和友好条約を結ぶべきで、それが本当の意味での対等だと思う。そこへ踏み切れるのかどうか。
 それから朝鮮問題。今まで圧力一辺倒できたが、日朝「平壌宣言」の精神に基づいて、圧力でなく対話で、過去の加害者としての謝罪・反省・償いをしていく、その中で同時に拉致問題も解決する。新政権が、これまでの間違ったやり方を変えることが可能かどうか。さらに、今までのアメリカ中心のグローバリズム・市場原理主義という新自由主義路線の問題。リーマンショック以来、これは破産しているのですから根本的に改めていくべきです。G8からG20へ、これまでのような市場原理主義は修正されたと報道されているが、実際にはごまかしている。
新政権が経済運営・産業政策・社会システム全てで、こういう路線と決別できるかどうか。国民生活にとっても、日本の進路を巡る問題としても、日米安保問題と同様に非常に重要なことです。そこに踏み込んでいけるのかどうか、新政権の大きな課題です。基本的に難しく、無理でしょうね。

新政権の危険な側面

 それはなぜかと言うと、この新政権は資本主義の枠内で、いくらか部分的な改良で国民の支持を取り付けるということであって、根本的に労働者、中小企業、農民の利益代表として大企業の収奪・搾取と闘い、政・財・官のトライアングルを根本的に見直していくことは難しい。また、長年、日米の独占企業が運命共同体的な形で結託し、日本の独占資本もアメリカ資本の片棒を担ぎながら利益を得る世界戦略できており、この路線の中では新政権は根本を変えることはできない。そういう根本の問題を変えようと思えば、労働組合が革命政党と結合し、資本主義と日米同盟の根本を変える革命を実現する以外に変りようがないと思います。
注意すべきは、この新政権は今までの政権より民衆受けすることをやるものですから、下手をすれば、民衆の潜在的エネルギー、怒り、不満を大企業に都合のいいように、日米同盟に都合のいいようにリードし吸収していく非常に危険な側面も持っている。
 何故なら、ヒトラーだってクーデターを起こして政権を取ったわけでもない。失業や貧困の増大、政治に対する不満・怒りをうまく吸収し、民意によって、つまり選挙で勝利してヒトラーのナチス独裁政権ができたわけですから。結局、今の民衆の側が「万歳、万歳」ということで無批判についていって、批判する力、チェックする能力が弱まってくれば、自公政権より非常に危険な方向に国民をリードする政権に成りかねない。このことを、われわれはしっかりと見ておく必要があると思います。

大政変への活用力を持とう

 政治が変ったということは、新しい政権への活用力を持つのかどうかということが一番大事です。労働組合は革命政党とは違って、資本主義の中における改良闘争を大いに発展させる必要がある。 
 例えば、トラック、タクシーでも同様ですが、生コンの場合、今まではセメントメーカーは一方的に中小企業を無視して買い叩きをやっていた。こういうやり方を改めようと、今、事業協同組合に多くの中小企業を結集させ、その団結した力によって大企業との対等取引が進んでいる。新しい政権は、中小企業、労働者に視点をおいて政策を実行せざるを得ないという面があり、新政権の政策のその側面を大いに活用していく。
 労働運動では、これまで企業別労働組合以外の産業別労働組合、企業外労働運動は認めないと、権力の力で警察、検察、司法も含めて弾圧されてきた。民主主義を標榜する新政権はこういうやり方・制度を改めるべきと政策提言をしていく。
 三井環さんという大阪公安部長をやっていた人が、今、収監されている。この人から刑務所からの手紙をいただいた。その中で「検察庁は腐っている」と。裏金を暴露しようとしたら事件をでっち上げて逮捕する。ヤメ検というのは、大方が大手企業の顧問になっている。そういう仕組みをつくり、その利益誘導に応じない人は、三井さんみたいにつぶす。新政権が「官僚主導型を変える」というのなら、こういう検察、司法のやり方を改革させる。
需要創出の点で、無駄なダム、港でなく、例えば生活道路を充実させる。下水道の完備、堤防の補強、各個人の家に至るまで耐震補強の助成措置をさせる。こういうところに税金を使うべきで、そうすれば中小企業に仕事が増え、需要創出になる。それが、結果として国民の安心と安全の体制をつくる。
また、中小企業協同組合の中に、大企業が分社化して入り込んできて、中小企業の面をしながら、協同組合を大企業が支配する仕組みになっている。そういう仕組みや法制度を改めて、中小企業のための協同組合の方向に変えていく。それと、今まで大企業の技術開発には莫大な助成金を出していた。飛行機の開発、宇宙開発事業、ナノテクとか。ところが中小企業の、例えば東大阪の「まいど一号」の開発、生コン業界で言えばグリーンコンクリート研究など、こういうところには助成金を出さない。中小企業の振興・育成は、産業の活力を生み、雇用創出につながるのですから、新技術開発に助成措置をとっていく。そうすることによって、外需主導型の経済構造を内需主導型に変えることになる。このようなことを、われわれの活用力として、三井さんの提言を含め、提言していかなければならない。
日本の企業別労働運動は、もう展望を切り開くことはできないということがはっきりした。共産党の建交労にいた組合員がわが方にどんどん合流してきている。政治の変化と同じように、地殻変動が、今、生コン関連では起きている。この勢いに乗って、産業政策を一層推進させ、労働者の権利、雇用を確保し、産別的な福祉,賃金制度を確保する。そういうことを中心にすえた運動を、一層、自信をもって追求していく必要があります。

本物の「第3極」の形成を!

 社民党を軸に「第3極」に取り組んでいる人もいますが、それは本当の3極にはなりえない。社民党、共産党もそうですが、資本主義の枠内で改良的な闘争をする中間政党ですから、本当の意味で労働者・農民・中小企業を含めて民衆の根本的な利益を守ることは不可能です。そうすると、本当の意味で第3極ということになれば、日米安保の問題、朝鮮半島・東アジアの安全の問題、そしてわが国の資本主義システムを根本的に変えて、労働者の天下になるような社会を目指そうという志あるグループが共通した課題で団結し、統一戦線を形成して、全国に打って出る必要がある。
 しかし、既成の左翼と言われる人たちには限界がある。率直に言って、今までどちらかと言うと、負け戦ばかりしているからか負け犬根性が身についてしまって、口では大層なことを言うけれど、実際の労働運動、大衆運動から孤立してしまっている人が多い。
 そういう意味では、やはり軸になる部分が必要で、われわれ関生労働運動の他にも、全国に少数であっても産業構造を変革し、社会構造を資本主義から社会主義に変えることを展望して闘っている労働組合は少数だけれど点在している。そういう労働組合が革命を志す人たちと結合していけば、世の中を変えることは可能です。それこそが本来の3極です。それなくして、大変危険な方向になりかねない流れを阻止することは不可能だと思います。
 この大政変への活用力を持てばそういう勢力も伸ばせる。そのためには、時代が大きく変化しているという問題意識を持つ。必ず、チャンスとピンチは同居するわけですから、チャンスの芽を伸ばせるような意気込み、気迫、「世の中を大きく変えることは可能だ」という自信、理想を現実のものにしていく情熱を持った運動が必要です。
 もう一つ。今の左翼と言われている人たちの中に想像力が欠落している。
 例えば、核問題における二重基準なども想像力が働かないから現状を追認してしまう。普通、「お前のところは持つな」ということは、持っている国がまず核を放棄して初めて「お前のところ持つな」ということであって、持っているところが持っていないところにそういう資格があるのか。要するに、帝国主義どもがつくり上げた常識にぼかっと左翼もはまり込んでしまっている。起きている現象を、多面的、複眼力をもって見る力、何が原因で起きたのかを見る分析力、同時にその中に働いている原理・原則とは何なのか、帝国主義がつくり出す社会秩序とは何なのかを見る。何よりも、その中で民衆が抑圧され、支配され、苦しんでいる現実に、思いを馳せることが想像力です。
 要するに、想像力が働かないものは他力本願になる。
 新しい政治勢力の軸をつくることは、そういう想像力を働かせ、民衆の利益に立脚して、報われることを考えずに闘う気概のある志をもった人たちが軸にならなければいけない。こういう人たちで軸が出来、他のためにやることが喜びとなる運動であれば、その運動は拡がる。今は少数で、点であっても、一気に面に広がり、燎原を焼き尽くすように発展する可能性がある。そういう時代が始まったと、わたしは見ています。(談話を編集部の責任でまとめています。)

7000人が結集した10・3反核集会 こちらをクリック
『沖縄「自立」への道を求めて』
出版記念シンポジウム

写真報道はここをクリック

 今回の総選挙では自民党が大敗し政権の座を追われた。沖縄でも4つの小選挙区で新基地建設推進派議員がことごとく落選した。こうした絶好のチャンスが訪れた今日の状況を背景に、9月11日(金)、『沖縄「自立」への道を求めて』出版記念シンポジウムが全水道会館3階大会議室にて開かれた。「いま、沖縄から日本を問う」と題して、5人の発言者が、それぞれの観点から提起した。そのうち、いくつかの発言をご紹介する。  (編集部 影)

民主の風が
暴風にならぬよう警戒を

 琉球新報社の論説副委員長・前泊博盛さんは、基地移転のために日本が6000億円も支払い、今後はグアム基地を自衛隊も使おうとしていることを指摘した。今回の選挙では「民主の風」が吹いたが、民主党には極右から極左までが同居しており、これが「民主党の暴風」にならないように監視しよう。最近、新聞から「革新」という言葉が消えた。「革新」とは反基地、反自衛隊、反安保を指すことば。民主党のマニフェストからはいつのまにか「基地の県外移設」の文字も消えてしまった。民主党には要注意、と語った。また米軍について、沖縄で正義のヒーロー「ウルトラマン」を演ずる米軍は、「怪獣が来る来る」といいながら沖縄に多大な迷惑をかけ続けている。沖縄から見れば、米軍こそ「怪獣」に見える。

琉球大学教授の島袋純さんは、「沖縄自治研究会」を立ち上げ、9つの市町村の財政分析を長期にわたって行ってきた。そしてそこから見えてくる沖縄経済の弱さを指摘した。沖縄には社会資本がない。沖縄の自治体経済は国庫からの多額の補助金の支給によって支えられており、沖縄開発庁などで総合計画がつくられるため、全国で唯一、総合計画を持たない、自立できない県となってしまっている。補助金は、10億円を負担すれば90億円もの補助金が来る仕組みとなっている。そのため、沖縄にとって必要な事業よりも、補助金の多い事業を優先するため、復帰以来30年以上ものあいだ、温泉、ドーム球場、動物園などばかりつくり、有効な投資を全く行ってこなかった。ザル経済である、と指摘した。

民衆が平和に共存する
道を求めよう

 琉球大名誉教授の新崎盛暉さんは、日本政府は80年代頃から「日米同盟」という言い方をするようになり、これは沖縄返還以後の日米関係の変質を意味するものである。
 安保体制は52年に発足し60年の改定、72年の沖縄の本土復帰を経て、70年代から思いやり予算、ガイドラインが決められ、冷戦終了後の96年のクリントン・橋本の日米安保共同宣言においてさらに大きな変質が起こった。そして米軍再編と自衛隊の共同の軍事体制へ組み込みが始まった。戦後、対米従属と沖縄差別の上に米軍基地の存在は位置づけられてきた。また、ベトナム戦争時には、米軍は日本との事前協議なく、沖縄に自由に移動し、そこから出撃していった。その表向きの理由は「アメリカが日本を核の傘と米軍によって守ってやる」というものであるが、それはフィクションにすぎない。中曽根は「番犬を飼うために金を出すのはしかたがない」と言ったが、その「番犬」は自分の意志でそこにいるのである。
 「日米同盟」論の背景には自衛隊の軍事力の相対的上昇があり、米軍再編の重要な点として自衛隊による米軍基地の共同使用も含む日米共同体制の構築がある。これに対して民主党新政権はどう動くのか。オバマ政権より様々な牽制球が投げられているところである。
 最後に、我々は軍事力強化を拒否し、国境を低くして、民衆が平和に共存する道を求めよう。と結んだ。

ヤマトの運動の状況が
問われている

 これらの報告に続いて会場からいくつかの質疑があった。「沖縄独立」と道州制施工時に「琉球県」として琉球独立へ向けた主張をするべきではないのかという質問に答え、新崎さんがユーゴスラビアで起ったセルビア・クロアチア人民の民族独立による悲劇を例にあげ、以下のように述べた。沖縄の独自の歴史に踏まえ、ヤマト、中国、台湾、朝鮮半島など東アジアの近隣諸国を含めた国際関係の中で考えていかないと空論となる。こうした歴史と諸関係の中で、沖縄民衆が平和にのびのびとどう生きていけるのかが重要であって、「まず独立ありき」であってはならない。道州制にしても、軍事基地の現状打破のために、何を獲得できるかということで、これを利用する以上のものではないと応えた。
次に沖縄の経済的自立及び、憲法9条と安保条約の二重の法体系の中での日本の進路について。前泊さんが次のように答えた。沖縄経済は農業が5%から現在では1・5%にまで減少している。製造業も減少し、90%以上がサービス業となっている。これでは自立は難しい。沖縄は基地依存によって「惰民化」させられているのではないか。しかし現在、製造業の誘致に取り組み、成果が現れている。軍事基地から経済基地へ変える事で沖縄自立の展望は見えてくる。またスコットランド議会の例をあげて、沖縄自治州に向け参考になるのではないかなどの質問もあり、様々な切り口からの活発な討議が続いた。
 結局、いみじくも新崎さんが独立について質問をした参加者に、「どう立ち向かっていくのか、あなた自身が考えてほしい」と答えたように、戦後60年も沖縄への構造的差別を強制している日米安保を破棄出来ないヤマトの運動状況をどうするのかが、問われたシンポであった。
沖縄に基地はいらない!
ジュゴンの行進!

写真報道はここをクリック

 9月12日、「沖縄に基地はいらない!ジュゴンの行進!」が行われた。銀座1丁目の水谷橋公園には思い思いのジュゴンのぬいぐるみ、きぐるみ、プラカードなどを持ち寄り集まった。WWFジャパン、東水労、やんばるの森にヘリパッドはいらない住民の会などからのアピールのあと、ヘリ基地反対協の安次富浩さんから電話で現地報告を受け、沖縄と連動して東京での闘いも重要だ、との励ましを受け、一同はデモに出発した。行進は数寄屋橋前を通り、日比谷公園まで行進し、注目を浴びた。写真報道はこちら

国内短信


鳩山内閣の支持率、歴代2位の71%
 朝日新聞社が9月16日、17日に実施した緊急の全国世論調査(電話)によると、鳩山内閣支持率は71%、不支持率は14%だった。内閣発足時の支持率としては、小泉内閣の78%(2001年4月)には及ばないものの、非自民連立政権として誕生した細川内閣の71%(1993年9月)と並んで、歴代2位の高さだ。また、政党支持率は、民主が46%、自民15%で、民主の支持率は前回調査(8月31日、9月1日)の39%を大きく上回って過去最高だ。小泉政権時代の自民支持率の最高記録(2005年9月、43%)をも超えて、1980年代から90年代初頭の自民単独政権時代の自民支持率に匹敵する高さだ。逆に、自民支持率は、1955年の結党以来、最低となった。

女性国会議員、過去最多の54名
 8月30日総選挙で、当選した女性候補は過去最多の54名で、全議席の11・3%にのぼった。しかしこの比率は、「列国議会同盟」(IPU)のランキング(二院制の場合は下院の数字を採用)では、187カ国中120位にとどまる。2005年に閣議決定した「2020年までに指導的地位の女性を3割にする」という目標の達成には程遠い状態だ。外国では、党内の選挙の候補者に女性を割り当てたり、比例区の名簿順位を男女交互にしたりする「クオーター制」を導入している国家が115カ国にのぼる。IPUランキング2位のスウェーデン(47・0%)やドイツ(32・2%)は、主要政党が自発的に比例選挙で名簿順位を男女交互にし、英国(約18%)は労働党が国政選挙で近接する選挙区の一方を必ず女性とする「自主的クオーター制」を採用して、女性議員が急増した。また、法による「強制的クオーター制」を実施している国家もある。1位のルワンダ(56・3%)は、憲法で国会議員の3割を女性とするように規定する。憲法の規定ではなく法律の改正で規定する国家もある。たとえば、韓国は、2004年の政党法の改正で比例名簿の5割を女性とした。しかし、東北大学大学院の辻村みよこ教授(憲法学)によると、日本では「強制的クオーター制」は憲法違反となる可能性があるが、政党による「自主的クオーター制」なら憲法に適法という。さらに、女性議員を増やすには、候補者の発掘や育成、資金援助なども重要だ。円より子民主党参院議員らが1993年に立ち上げた「女性のための政治スクール」は、福祉や環境だけでなく外交や金融などの分野での人材を養成するのが目標だが、これまでに600人が終了し、国家議員になったのは今回初当選した江端貴子氏を含め4人に留まっている。今後、女性議員を増やすための全社会的な支援体制作りが必要だ。


海外派兵の恒久化をあおる防衛白書
 防衛省は7月17日、「防衛白書」2009年版を公表した。昨年は9月に公表されたのに比べ異例の早さである。これは今回の総選挙での自公政権崩壊の可能性をにらんだ駆け込み公表であり、内容も一段と好戦的で危険なものをはらんでいる。朝鮮や中国の軍事脅威、国際テロなどを口実に海外派兵を「防衛省として…検討していく必要がある」と初めて明言した。またこれまでの時限立法ではなく「海賊対処」の名目で恒久的に派兵を持続できる内容となっている。

イオンが農業に参入
 大手スーパーのイオンは7月22日、子会社イオンアグリ創造を設立し農場経営に乗り出すと発表した。場所は茨城県牛久の2・6ヘクタールの農地で、年間300トンを収穫しジャスコ15店舗で販売する計画。すでに農業を進めている企業にはセブン&アイ、ワタミ、カゴメ、モスフードサービス、JR東日本などがある。農産物自由化による海外からの輸入で農産物価格破壊が進行している。また企業による農業参入が農村を深刻な崩壊の危機に追い込んでいる。(5面「変革のアソシエ」農の講座を参照)


企業倒産15ヶ月連続増加
 帝国データバンクは9月8日、8月の全国企業倒産(負債額1000万円以上の法的整理のみ)が前年同月比2・4%増の1042件になったことを発表した。食料品や衣料品などの販売不振が影響し、小売業の倒産が194件と、3月(212件)と7月(18件)に次ぐ、今年3番目の高水準で、前年同月比14・8%の増加となった。従業員数別では、10人未満の企業倒産が840件と、全体の倒産件数の80・6%を占め、小規模倒産が際立っている。倒産の主要因は、販売不振などの「不況型倒産」の構成比が82・4%となり、集計基準を変更した2005年4月以降で最高となった。同調査は、今後、小売業、卸売業、サービス業などの「内需型産業」の倒産が加速し、雇用環境が一段と悪化する恐れがあると指摘している。


地球温暖化防止へ新たな国際的合意形成を急げ
 鳩山由紀夫首相は9月22日、国連で開催された「国連気候変動サミット」で、2020年までに1990年比25%の削減という積極的な国際公約を表明した。同時に、先進国が官民の資金を投入して、途上国の排出削減などを支援しようという「鳩山イニシアチブ」も提案した。2009年12月に開催される「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)」は、京都議定書に続く地球温暖化防止へ向けた新たな国際的枠組みの構築のための合意を目指している。だが、先進諸国相互の利害および先進国と新興国・途上国の利害の隔たりは大きい。従って、日本の鳩山政権が地球温暖化に対処するため、国際社会へ積極的な働きかけを行うことは、隔たりを打開し合意形成のための大きな力になる。
公共工事の見直しへ着手
 前原誠司国土交通相は、9月17日、八ツ場ダム(群馬県)に続いて川辺川ダム(熊本県)の建設中止を明言した。民主党は総選挙前に示した政策集で計画中または建設中のダムについて、いったんすべて凍結し、一定期間を設けて、地域自治体住民とともにその必要性を再検討すると記している。前原国交相は、公共事業の基本姿勢について、少子高齢化、莫大な財政赤字、人口減少の現在において、どこに優先的に税金を使うべきかを検討し、税金の配分を大きく変えなければならないと語った。それを受けて、建設中か計画中のダムが143あり、これらの事業を見直さなければならないが、現時点では、全ダム事業の凍結は考えてないし、今後の河川行政について、ダムを全否定しているわけではなく、ダムが必要な河川整備もあると語った。その上で、八ツ場ダムおよび川辺川ダムの建設中止は今後の河川行政や公共事業の在り方を見直していくうえでの入り口との認識を国民の皆さんにはもっていただきたいと語った。

生活保護の「母子加算」復活へ
 長妻昭厚生労働相は9月17日、2009年4月に全廃された生活保護のひとり親世帯への「母子加算」について、年内と言わず、なるべく早く復活させたいと早期の復活を明言した。この復活は大臣告示を改正することでできる。すでに検討を指示し、早ければ10月にも踏み切る意向だ。「母子加算」の対象は、全国で約10万1000世帯となり、10月から復活した場合には、約90億円の経費が必要とされる。

沖縄短信


米海兵隊、辺野古漁港に武装して上陸し軍事訓練を行う
 米海兵隊は9月2日、沖縄県名護市辺野古漁港の民間地の浜に、武装して上陸し軍事訓練を行った。2日午前10時過ぎ、辺野古漁港横のテント村で座り込んでいる住民らが沖合にボート3隻を確認した。しばらくすると、海兵隊員は、豊原側から上陸し銃を肩にかけ潜水用足ヒレを手に下げて、辺野古漁港と「ヘリ基地反対協議会」の座り込みのテントへ向けて、歩いて接近してきた。この米海兵隊の軍事訓練について自公県政は「歩兵の移動だと言われれば地位協定上は問題ない」(『琉球新報』9月3日)と容認しているが、住民たちはこの軍事訓練に対して、ここで日常生活を営む人々の気持ちをなんだと思っているのかと憤慨している。

ヘリ基地反対協議会が、防衛省のデモフライトに対して抗議声明を発表 防衛省のデモフライトは、米軍の沖縄・辺野古への新基地建設のためのアリバイ工作だ!
 防衛省沖縄防衛局は9月10日、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設に伴い、建設予定地周辺海域の騒音を測定するため、CH53ヘリコプター2機による「現地試験飛行(デモフライト)」を実施した。ところが、同局報道室によると、デモフライトは沖縄県、名護市、宜野座村の要請に基づくもので、現在、手続きが進行中の「環境影響評価(アセスメント)」には位置づけないとしている。ヘリ基地反対協議会は同日、防衛省沖縄防衛局のデモフライトに対して、抗議声明を発表した。声明は、今回のデモフライトを環境影響評価法とは関係が無いとする沖縄防衛局の説明を、アセス準備書の不備を覆い隠そうとする腹黒い手段であり、環境影響評価法を否定するものであると激しく糾弾した。また、安次富浩代表委員は、デモフライトは新基地建設のためのアリバイ工作であり、環境影響評価に位置づけないなら、何のために実施するのかと、デモフライトの実施を批判した。


沖縄県環境影響評価審議会が防衛局にアセスメント審査の再調査を要求
 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設にかんする環境影響評価準備書を審議する「沖縄県環境影響評価審議会(津嘉山正光会長)」は9月28日、宜野湾市で第8回審査会を開催し、沖縄県への答申案について審議した。沖縄防衛当局の準備書は、環境への影響は総じて軽微とした内容であった。審議会は、その内容に対して、個別的で具体的な批判を加え、再度、必要な調査・予測・評価を行うという文言に修正し、実質的に準備書のやり直しを求めた。

辺野古新基地の建設に反対し、普天間を解放しよう!
 「基地の県内移設に反対する県民会議」は9月18日、那覇市沖縄県庁前で、沖縄県の米軍・普天間基地の即時閉鎖と名護市辺野古新基地の建設反対を求める県民集会を開催した。集会では、安次富浩代表委員たちが、県民の力で、新基地建設を止め、普天間の解放を確実に勝ちとろうと呼びかけた。その後、参加者は那覇市の繁華街・国際通りを、環境影響評価法に反する違法な調査や手続きの中止と関連予算の凍結を求めて、デモ行進を行った。
国際短信

アメリカ反戦団体、アフガン即時撤退を呼びかけ
 10月7日のアフガン攻撃開始8周年を前に、米国の反戦団体がアフガンからの即時撤退要求の行動を展開している。米国最大の反戦連合「平和と正義のための連合」(UFPJ)、女性反戦組織コードピンクなどは9月17日、これ以上の派兵反対を求める署名をホワイトハウスに提出した。またUFPJは10月7日に全米でデモや集会を行うように呼びかけている。

南米・南ア首脳会議
 南米諸国連合(UNASUR)・アフリカ連合(AU)65カ国が参加する第2回南米・アフリカ諸国会議が9月26日から2日間、ベネズエラ・マルガリータ島のポルラマルで開催された。開催国ベネズエラのチャベス大統領は、歓迎のあいさつで、一極化でも二極化でもなく多極化の世界になると演説した。会議は先進諸国の金融危機がもたらした悪影響に抗して、貧困、開発、食糧、エネルギーなど多岐にわたる領域で南米、南ア諸国が団結し協力しあっていくとの宣言を採択した。また現在の国連安全保障理事会制度の改革をめざすことで一致した。また南米7カ国は「南米銀行」設立に合意。チャベス大統領は将来、両地域が協力する開発計画に出資する「南南銀行」設立を援助する意志を示した。


米、MD計画見直し発表
 オバマ米大統領は9月17日、旧東欧諸国へのミサイル防衛(MD)施設の配備計画中止を発表した。MD配備はブッシュ前政権時代に計画され、ポーランド、チェコとの協議が進められていたが、ロシアはこれに強く反発していた。今回の発表はイランの核開発を牽制するためにロシアの協力を取り付ける狙いがあり、メドベージェフ大統領はこの決定を評価すると語った。

泥沼化するアフガン戦争
 ワシントンポスト紙(電子版)は9月21日、アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官が8月30日、ゲーツ国防長官に提出したアフガニスタンの戦況報告書で、年内に追加増派しなければ武装勢力をうち負かすことはもはや不可能と報告していたと報じた。またCNNは9月11日、ゲーツ国防長官が戦況悪化に踏まえ、決定済みの駐留部隊増派分とは別に3000人を再増派すべきだとの結論に達したと報じた。今年は開戦以来最大の死傷者数となった。オバマ政権はすでに2万1000人の増派を決めており、展望の見えない泥沼化が進んでいる。
米中首脳会談で合意
 オバマ米大統領と胡錦濤中国国家主席が9月22日ニューヨークにて会談した。オバマ大統領は11月訪中に触れ、「世界、地域、両国のそれぞれの問題で新しいレベルの関係を作りたい」と述べ、またイランの核問題について米国の国家安全保障上の利益にとって中心的課題だと述べ、理解を求めた。胡錦濤主席は「良好な中米関係は両国・両国民の重要な利益に資するだけでなく、アジア太平洋地域と世界全体の平和安定、繁栄への貢献となる」と述べた。
武器輸出、米国が世界の7割
 ニューヨーク・タイムズは9月7日、米議会調査局の最新報告について、08年度の世界の武器輸出は552億ドル(約5兆1300億円)で、前年比7・6%減となったが、その中で、米国の輸出は前年の254億ドルから48・8%増の378億ドル(約3兆5100億円)で、全世界の武器輸出総額の68・5%に達した。発展途上国への武器輸出の比率が増大しており、全体の70・1%を米国が占めている。
エクアドル住民運動の勝利!米軍基地を追放
基地経済と米兵の犯罪
 米軍は9月18日、エクアドルのマンタ基地から完全撤退した。米軍は1999年以来、麻薬密輸や移民取り締まりを口実にカリブ海、太平洋沿岸地域を監視してきた。基地が置かれた当初は経済効果に期待する声もあったが、基地周辺における米兵の麻薬、売春、暴行などの犯罪に加え、米軍が民間漁船を「麻薬密輸船」と決め付けて沈没させる事件も多発し、基幹産業の漁業は大打撃を受けて住民への脅威となっていった。米軍へのマンタ基地貸与協定はエクアドルの主権をまったく認めない従属的内容であり、住民の抗議の声は届かなかった。
反基地運動の高まり
 平和団体などが「反基地連合」を結成し米軍撤退要求運動を起こし、基地被害の実態が国内に広まっていった。その中で2007年1月にはコレア左派政権が誕生した。また同年3月にはエクアドルのキトで世界40カ国の反基地活動家による「世界反基地ネットワーク」設立総会も開かれるなど、米軍基地への非難の高まりの中でコレア大統領は2008年8月、2009年11月に10年間の基地貸与期限が切れる貸与協定を更新しないと米国に通告していた。エクアドルのファルコニ外相は9月18日、米軍の完全撤退の記念祝賀式典に出席し、もう二度とエクアドル領内に外国軍基地は置かせないし主権の旗を売り渡すこともないと宣言した。
米労組相次いで大会開催
 全米の各労組の大会が9月13日から相次いで開催された。今年は大手自動車メーカーGM、クライスラーの破綻などによる失業者の増大と、医療保険や年金の喪失者が増え、社会問題化している中で、労組がどう立ち向かうのかが課題となっている。オバマ大統領は15日、ピッツバーグで開催されていた、アメリカ最大の米労働総同盟産別会議(AFL・CIO、組合員1100万人)の大会でがあいさつし、民間保険の改革と無保険者向けの新たな公的保険の創出を訴え、労働者の労組加入や結成を容易にする「被雇用者自由選択法」の支持を表明した。
ドイツ中道右派政権樹立
 キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と保守の自由民主党(FPD)による中道右派連立政権が9月27日のドイツ総選挙で樹立した。2005年、中道右派のCDUと中道左派の社会民主党(SPD)による大連立政権が樹立されたが、今回の選挙結果は、政権党が後退し、左右の野党が前進している。CDUは13議席減の239議席、SPDは76議席減の146議席と、連立両党とも大幅に後退しており、有権者は政権への不信任をつきつけた。CDUがSPDとの連立を解消し右派のFPDを連立相手に選んだことで、弱者切り捨てと原発の再開が懸念される。なお、左翼党は22議席増の76議席を獲得した。


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