――足掛け5ヶ月にわたる春闘ストライキ闘争がやっと終結しました。ご苦労様でした。長年の業界との闘いで、中小企業を協同組合に結集させ、大企業と闘う姿勢に転換させてきました。「一面共闘・一面闘争」の産別政策・中小企業政策運動を積み重ねてきたわけです。今年のストライキは、これまでと比較して規模と日数で大きく上回り、関西の生コン業界始まって以来の歴史的大ストライキでした。「大企業からもうけを吐き出させ、中小企業にも賃上げできる原資を作れるシステム」を勝ち取る闘いで、金融恐慌下での闘いのモデルとなり、全国の倒産の危機にあえぐ中小企業と労働者を励まし、希望を示した闘いでした。まず、現場での闘いと、感想から聞きましょうか。
139日間のストライキ、
私の人生でも一つの歴史
長浜 7月2日からのストライキ。梅雨の終わりからですね、蝉の誕生を見て、蝉の死を見て、そろそろちょっと肌寒いなという所の139日間のストライキだった。感想は、それはもうやっと終わって、ああ、長い闘いやったなと。これは私の人生においても一つの歴史の1ページかなと思いますね。ただ、さっそく業界が不穏な動きも含めて巻き返しをはかって来ているというので、闘いは一区切りついたという感じですが、また新たな闘いが始まっていくということです。
ものすごいしんどいけど
充実して達成感
稲葉 正直ほっとしました。6月27日に大きな決起集会を開いて、あれを契機に7月2日からストに入ったわけです。なんとか専業各社の急場をしのげたなと、ほっとした分、達成感もあります。こんな長期のストライキは過去にない行動でした。自分は支部事務所で、ずっと座って電話の受け答えをしてチェックをしていた。今年は、業界始まって以来の大ストライキで、各生コン現場の方で何が起きてるか、常任や担当役員の指示を仰いで現場に指示を出しておったんです。長期の闘争の中でセンター業務みたいなことで、ものすごいしんどいけど充実して達成感はものすごくあります。
毎日組合員を10人、
ストライキ現場に割り振り
戸田 今回のストライキのエリアが、特に大阪、神戸中心やったわけで、僕らそのエリアから外れてたんです。長浜さんや稲葉さんの切実なストライキから言ったら、ちょっとトーンが下がるかも。毎日組合員を10人くらい、有給休暇を消化させて参加させ、有給なくなったら賃金カット受けて参加せなあきませんから、連日毎日ストカットで参加じゃないにしても、月多い人やったら4、5日はストライキに参加してました。その割り振りを僕がしておった。そういう意味では、早いこと終わらんかなと、そういう部分もありましたね。日頃から関生は労働争議が絶えずどこでもありますから、ストライキは日常茶飯事だし、セメントのストライキなんかは毎年夏、冬で年2回くらいある。そういう意味で言うたら、今までにはないちょっと大規模の、長い期間のストライキを今回やり抜いたんだなと、思います。
早起・早寝・
夜遊びなし・節約
――長期ストでしたが、初期、中盤、最後の詰めと、皆さん方の闘争中の生活スタイルは変わりましたか。
稲葉 大きく変わったね。最初の方は、役員の人らまだ体力あったから6時に事務所に来たらよかった。やっぱり長期になるとそれぞれ任務がありますやんか、スト以外に。役員が晩遅くなったりして、朝遅くなってしまうということで、生コン会館(組合事務所)の鍵預かってね。京都、大津や湖東から仲間が応援に来てくれるんで、遠い人は早く着く。6時にここに来たらいいよって言っても、5時半くらいにはもう着いてはるんですわ。だから5時半には事務所に入るようにして、開けて。スト前は、朝6時15分に起きておったらよかったのが、このスト期間中は4時半には起きて、もう5時には家飛び出すような状態でした。
戸田 週の内半分くらいはストライキに僕も参加してた。大阪まで来るいうたら、明石や加古川からだったら、やっぱり1時間以上かかりますからね。そしたら6時に現地に入るとなったらやっぱり、4時くらいに起きて家出て集合場所に4時半頃に集まってね。それで6時に来る、かなり早起きしましたね。
長浜 僕も大体朝は4時半過ぎくらいに常時起きて、集合は6時とかですね。セメントになると少し遠いですから、5時半集合であったりしますからね。通常会社に行く時は、大体6時前後に起きるのが、生活スタイルが大分変わった。規則正しい生活というかね(笑)。夜も早く夜遊びせえへんし、飲みに行かなくなって。それはもう次の日のこと考えたらね(笑)。僕ら4ヶ月の間、賃金カットですからね。特に最初の2ヶ月間は丸々ですから。うちの分会5名いますけど、交通費とか総額入れると、280万くらいは、自分たちもカットで生活をしておったわけです。色んな対策があって、会社から貸付という所もあるんですけど、うちの場合は本当に自活でやりました。賃金カットも多いですから、節約出来る所は節約するような形をとっていかざるを得なかったということも、組合員の中ではあるだろうと思います。だから時間的な問題と、金銭的な生活問題も当然加味して変わったということです。
――次に春闘方針ですが、今年も、深刻な経済危機のなかで、中小企業の経営者はほとんど賃上げ原資ってないわけですね。だから独占資本、要するにセメントメーカーとかゼネコンに、簡単にいえば生コンの価格を適正価格に値上げさせて、中小企業の経営者にも資金を持たせて、賃上げ原資を作る。そういうシステムをストライキ闘争で闘いとる。そういう形でやれるような仕組みを作ろうというのを長年やってきたわけですね。そのことを実際にスト現場で、わかるような実感ありましたか。経営者と話したとか、ストライキの攻防戦の中であったとか。
建設業者、ダンプ業者に
産業政策運動の理解にギャップ
長浜 ストライキ中も私の会社の経営者と話しましたね。それから我々がスト現場を監視をしてるわけですから。当然周りの中小企業の建設業者であったり、ダンプの業者さんであったりね、色々情報を聞きに来るわけです。我々の産業政策において、こういう運動をして、それで原資はここから持って来るんですよという話をする。やはりなかなか理解がしづらいというのが、対中小企業においてはありますね。そんなことが現実に出来るのかと、それから日本の商習慣も含めて今までそういう契約の値段だったのを、これから上げていきますよ、そこから原資を持って行きますと言うてもですね、それが本当に現実に可能なのか、そういう運動が理解できるのかと、というのが彼らの本音の部分でしたね。
協同組合加入企業
「この運動に、もう賭けるしかない」
戸田 僕らは労使関係の無い生コン会社を止めに、ストライキを説得しに行った。初日はやっぱり向こうは警戒してね。工場の敷地内に入ってくれるなと、専務か常務とかそういう人が言いに来た。色々話をする中で2日目から敷地内に入れてくれた。暑いですからね。始まったの7月だから、日陰でちゃんと僕らの居場所も確保してくれて、その間ずっとプラント停止してますわね。この職場は、未組織というか建交労が居てる。そこの管理職の人がもう「ごくろうさん」って、「この運動に、もう賭けるしかないから頑張ってよ」って毎朝コーヒー持って来てくれた。この会社は、協同組合に加盟してる。連帯の労働組合はないけどね。コーヒーはね3日か4日でなくなった(笑)。自由にトイレも使うて結構ですよって。完全に出荷ストップを自主的にやって、共闘してるなと、それはもう肌で感じましたね。
文句の電話に「お前らのために
価格を上げる運動や、邪魔をするな」
稲葉 僕は直接現場に出ることはなく、ずっと事務所。その中で電話がかかって来る。敷地に入るなとか、ようけ人が来たとか、文句の電話ですね。それで「お前らのために生コン価格を上げるための運動しておるんやから、こっちの邪魔をするな」と、邪魔したいんやったら協同組合から出ていって勝手にせんかい」という理屈でやりとりやってた。そういうたちの悪い企業も何社かありましたね。「そんなん、生コンの値段が上がっても仕事が無くなるだけや」と、大方の経営者が言うてましたわ。時期的に言ったら、初日、2日目くらいでちょっとおさまって、それで中盤くらいでまたしびれ切らしてね。選別出荷する前くらいが一番激しくなってました。
ゼネコンと対等に闘える
業種・業界のストライキ
――今回の闘いの中で、独占資本なり大手ゼネコンの弱点は見えましたか。
長浜 公共工事を完成させるには、色んな下請け業者が絡んでいる。生コンは基礎資材で大量に使いますから必要だと。そこには鉄筋も入り、生コンを打設するにはポンプ圧送もいる。今はセメント輸送と生コンと圧送が手を組んでますけど、これに鉄筋の中小企業の協同組合を作って一緒になって、型枠、生コンの型を作る型枠業界も共闘するとなったら、まず公共工事は完全にできません。ゼネコンと対等に闘える手段は、やっぱり業種・業界のストライキ。敵の泣き所やね。
対等・平等の取引が出来る協同組合
のことを教えてくれと相談
稲葉 鉄筋屋とか電気の配線の人とかが、「すいません、一体いつまでどうなるんですか。コンクリート打たんかったら自分ら仕事干上がってしまう。それで、この先の見通しはどうなるんか」という問い合わせが多かった。逆に「お前ら、何さらしとんねん」と言うようなスト批判は、そうそうなかった。それとダンプ業者は働いて何ぼやから、鳶(とび)や鉄筋屋さんにしても日給月給ですから、働かんと親方が賃金を保障するという制度はないからね。現場で働いている労働者は、給与が出ないという大変な所はあった。型枠の親方が、大阪で仕事が止まって仕事が無いからということで一時的に兵庫県に流れた。8月、9月頃、そんな話よく聞きました。詳しい事は知らんけど、どこかの建設の左官屋さんやったかな、我々の運動に共鳴して、ああ、こういうことをやったら対等、平等の取引関係が出来ると言うことで、塗装とかね、協同組合のこと、その内容を教えてくれと相談に来たね。
――スト終結後、業界が不穏な動きも含めて巻き返しをはかってきているとか、あるいは弾圧の動きはどうですか。
長浜 労働組合が主体になって、業界をまとめて対等・平等以上の関係を構築する。それが独占資本や大手ゼネコンは我慢出来へんわけでしょうから、そこに楔を打ち込むというのが彼らの常套手段。過去の歴史の中でも、徳山系のセメントと竹中、大林、スーパーゼネコンがその中に楔を打ち込んで来て5社くらいを釣り上げ、もう協同組合出ろと脅す。出たら俺の所の物件を全部渡してやるからと、それで協組が分解してしまった。
――そういう巻き返し、協同組合破壊は、別に今回に始まったことではない、ずっと続いているということですね。
長浜 どっちが闘い続ける限り続くでしょうね。それと権力弾圧も。
稲葉 権力弾圧を、十分予測しておかんと。ストが長期化したから、向こうが事件をつくりたがって仕方がない。威力業務妨害という絵面を取りたがって、ミキサー車の前に立たせたり。実際何回かあった。こっちは絵面を渡すなということで、警戒心も持って対応していた。
関生型産別運動を全産業・業界に!
「反資本主義」への団結運動を進めよう!
――今回の長期ストに全国で「ストライキ支援の賛同署名」を呼びかけて動きました。それは、反弾圧ということと、「産業政策闘争」とそのための「ストライキ闘争」支援であり、経済危機のなかでもこうやって闘えば賃上げもできるということを全国化したいと取り組んだ。
ストライキの成果、この産別運動をこれからどういうふうにしていきますか。また、今日の格差社会の問題とか、貧困とか、正規・非正規労働とか色んな社会・政治問題が起こってますよね。どのような闘いを続けますか。
運動を広げ、資本主義の
矛盾をつく運動と主体を!
長浜 僕は東京の労働者集会の時、スト支援賛同署名をお願いした。非常に我々の運動を評価していただいていると感じた。世界的経済恐慌下で独占資本の危機をチャンスとしてこういう闘いのモデルを示したことは、世界で闘っている労働者とならぶ日本での先端の闘いだという確信と誇りを持ちたい。だからそういう人達の期待を裏切らない運動を広げ、この運動の成果を組織拡大につなげていかなあかんということです。武委員長もよく言われるが、格差社会の問題は資本主義に最大の原因があり、これからも色んな矛盾がもっともっと出てくるわけで、資本主義の世の中を変えていくことに、みんなが気付いていくような運動を、僕らが作っていく必要がある。この前、フランスから反資本主義新党の代表を招いて《『反資本主義左翼』への挑戦』》11月国際労働者シンポジュウムに参加した。フランスとかヨーロッパの産業別闘争は、組織率が10%、15%、低い産業で言うと8%でもゼネストがやれるわけです。年金改悪反対ゼネストは100万単位で、組合に入ってない人も、高校生とか大学生、つまり自分達の将来的な問題で被害を受けるんだと闘っている。このフランスの経験を、我々はもっと見習ってね、連帯していく必要があると思ってます。
ストライキを、産業の
労働条件の底上げを!
戸田 全国からのスト支援には感謝しています。ストライキは権利ですやんか。日頃から未組織労働者に労働組合も知ってもらい、理不尽な問題についてはやっぱりストライキを、ここぞと言う時には行使せんとね。格差というか、弱い立場の人の視点で物事を考えないことには、自分らの条件も維持出来ない。そういう視点でずっと関生は運動してますから、同じ建設産業の中でも弱い立場で頑張ってる人達の賃金など底上げをどうするのかと要求を出して、それで皆で行動やストライキを打ってね。世の中の弱者を同じ立場、条件に引き上げる。そういう運動を大事にしてるうちの組合は大好きです。ただ、組織をもっともっと広げんとやっぱり駄目やと思いますね。
関生だけがすごいんじゃない。
産業超え、全国が集結する運動を!
稲葉 全国からカンパ頂いたり、直接激励の電話も何回かいただいた。本当に支援してくださった方にお礼申し上げます。僕、組合入った時に、三池炭鉱の闘争のビデオを見て、全国から赤い旗があそこに集まっていくというのを未だに覚えている。そういう志ある労働組合の方とか、産業全部超えてね、どこかで全国が一つに集結するくらいの運動を出来上がったらいいなあと思います。別に関生だけがすごいんじゃない。今回のストライキは、腹据えてやった。それで、ここまでのことが出来るんやから、自分達が世の中を変えたいと思う人は、どこかで一同に会して、労働者の怒りをぶつけたら、おもしろいな、やりませんかっていう。
非正規職は毎年増えていってるし、僕も子どもがいるんで、自分の子どもらが本当にこの先日本で、本勤雇用制がきちっと残っていくのかどうか考えると、ものすごい先暗いなと。だからどこかで楔を打ち込んで、本当に底辺の人等の底上げをするような闘いが必要。それをどう全国に呼びかけ、広報し、組織していくか。これが今後の僕らの仕事になって来るんかなと思います。
――いずれにしても、5ヶ月に渡るストライキはすばらしかった。皆さんが、自らの運動に確信と誇りを持っていることがよく分かりました。闘いは、次のステージに上がっています。そこでの新たな勝負のために、まずは関生支部の組織をさらに拡大して強化し、産業別・業界別を基本とする労働運動、産業政策闘争を関西生コンにとどめず、全国へ、みんなでどんどん拡大していきましょう。どうも今日はありがとうございました。(2010年12月9日収録)
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